残念紋に見えて実は最強だった俺は学園で素っトボけて無双する!

紫葉瀬塚紀

ショート&ショート 1話完結

 ここは異世界にある国ニチモトで、俺はそこの住人カトーカ15才。この世界の住人は15才になると魔法を授かる儀式を受け、10段階レベルに分かれた各魔法を紋章と共に付与される。どのレベルの魔法が与えられるかは、儀式を行うまで分からない。運が良ければ最高10レベルの魔法を授かり、その人は周りから大絶賛され、勝ち組の人生が約束される。逆に最低レベルを授かってしまうと、人権すら認めてもらえない悲惨な人生を歩む事になる。

 んで、今日はその魔法を授かる儀式の日。我が家は代々最高レベルの魔法を付与されて来たから大丈夫だ、と親父がフラグを立て捲ったおかげで、俺は見事に最低レベルの紋章である残念紋を授かり、役立たず認定されて家に帰った。そうしたら親父がそりゃあもうブチ切れてブチ切れて、さぁ大変。俺は即刻勘当されて無一文の状態で家から追い出された。

 行く当てもない俺が公園のベンチで途方に暮れていると、一人の男が話し掛けて来た。

「私はアブドゥラ・ハシームといいます。困っている様子ですが、何かあったのですか?」

「実はかくかくしかじか丸書いてちょん」

「その紋章とやらを見せて下さい」

 ハシームさんは俺の手の甲に浮かぶ紋章を見ると

「これは残念紋によく似た有難紋という最強レベルの魔法を使える紋章です!貴方は最強レベルの魔法使いですよ!スゲー!」とそれはそれは大袈裟なリアクションで驚くと「どうです、その力を使って私と一緒に世の中をアッと言わせてみませんか?」

 と意味有り気な笑みを見せて言った。

「何をするんですか?」

 俺が尋ねると

「これからテロリストになって、とある学園に殴り込みます。そして国相手に我々の要求を認めさせるのです」

 思い切りヤバいじゃん、それ!と思ったが、行く当ても無いし協力する事にした。

「それじゃあ早速始めましょう!」

 と張り切るハシームさんの運転するトラックに乗った俺は、取り敢えず目指す学園へと向かった。校門を突き破って園内に突入した俺達は、校内に侵入すると、二階の授業中の教室に飛び込んだ。

「オラァ!抵抗する奴は撃つぞー!」

 ダダダダーン!パリーン!

 キャーキャータスケテー!

 すると何台ものパトカーや装甲車が学園を取り囲んだ。仕事早っ!

「我々はテロ対策特別部隊だー!お前らの要求はなんだー ! ?」

 するとハシームさんが意気揚々と

「決まってるー!9999億円用意しろー!」

 と叫んだ…って、金かよ!逮捕された仲間の釈放とか、国外逃亡とか、そんなんじゃないの ! ?大金が欲しいだけなの ! ? そんならわざわざテロなんかやらんでもええやん!

「ハイハーイ、分かりましたよー!何てったって人質の命の方が大事だからねー!人質が助かるんなら何でも言う事聞くよー!金ならすぐ用意するからねー!」

 人の命は地球より重い、とか言うクッソ気持ち悪い綺麗文句に振り回されて、テロリストにアッサリ降参するヘタレ国家ニチモト。

 すると教室の奥から黒髪短髪童顔の没個性を体現した様な学生が面倒くさそうに俺に近寄って来た。

「俺は平穏無事に生きたいけど、お前らがウザいからちょっと力発揮するわ」

 とその没個性はダルそうに言うと、火胃留を比居流したやつを日伊瑠して俺に非慰留した。

ボム!

 立ち上がる煙。しかし俺は痛くも痒くもない。こちとら有難紋やぞ!お返しだ、食らえ!

 俺は被射琉を卑委留して更に緋威瑠すると少しだけ陽医琉を割り引いた上で皮偉屡した。

ボム!

 煙が収まると没個性が無傷で立っていた。

「俺は半分も本気出してないのにこの時代の魔法レベル低くてワロタ」

 そうイキると没個性は肥井瑠しなくてもいい悲易留をわざわざ妃位流にした後それに泌移瑠を味付けして俺に飛夷流した。

ボム!

 俺のターン。俺は灯違流するつもりはないけど卑依留になった疲異瑠を庇意琉するとちょっと踵を加えて悪役した。

ボム!

 そんな事しているとハシームさんが

「カトーカさん、要求した金が手に入りました。ついでに逃走用のヘリコプターも用意してくれたみたいです。とっととずらかりましょう!」

 と俺に呼びかけた。俺は没個性に

「どうせならお前も来いよ。お前の好みを折って畳んで裏返し出来るユートピアに連れてってやるぞ」

 と誘いをかけた。すると

「俺は別に望んでないけど、仕方ないから付き合ってやるか」

 と言ってアッサリ了承した。

「ハシームさん、コイツも一緒にしていい?」

「あぁ、構いませんよー!仲間は多い程いいしねー!それじゃ、こことはオサラバして、次の学園に向かいましょうかー!」

 って、まだやるのかよ!

 かくして金目当てのテロリストと最強の俺とイキる時だけヤル気を見せる没個性の三人は、次の獲物となる学園を目指して、高々とヘリコプターに乗って飛び去って行ったのだった。

 メデタシメデタシ。

 もし貴方が空を見上げて得意気に飛ぶヘリコプターを目にしたら、乗っているのは俺達だと思って下さい。


 後、俺を追放した親父は、あの後上級国民の運転する車にハネ飛ばされて、下半身不随の重症を負ったそうな。その上級国民は国家権力に守られて、結局不起訴になりまんまと逃げ延びたらしい。ざまぁ~。

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