〜エピローグ〜




早いもので、あれから50年が経ちました。

私も、すっかり、おばあちゃん。


あの後、春希さんがずっと、私の側に居てくれて、私を守ってくれました。

子供も、3人産まれました。

そして、孫達も。


きっと、これも、あなたと春希さんのおかげですね。


私ね、あの日から泣かなくなったのですよ。

やっと、心から笑えるようになりました。

子供達や孫達には、よく笑うねと言われます。


そうそう。

去年の春。

春希さんも、そちらへ行きました。

もう、会えましたか?

久しぶりに、沢山、話せてますか?

あなたも春希さんも居ないけれど、私……泣きませんよ。

だって、もうすぐ会えると信じていますからね。

今日は、あなたの命日です。

あなたの大好物のハンバーグを沢山、作りましたからね。

春希さんと食べて下さいな。

白い花も、一緒に置いておきますね。


だけど、不思議な出会いでしたね、私達。

前世でも、何処かで会っていたのですかね。

なにか見えない繋がりがあるように感じます。

それから、私……少しだけ、幽霊の事が好きになりましたよ。フフフ。

幽霊にも、何かしら想いがあるのだと分かったら、何となく、愛しいやら切ないやら……。

でも……やっぱり、少し怖いかも……。あはは。


「おばあちゃん!そろそろ帰ろうよ!」

孫が呼んでます。帰らないといけませんね。

だけど、今日は、もう少し、ここに居たいのです。

何だか、あなた達に会えるような気がして……。




ー夏樹……夏樹……夏樹。ー


ー夏樹さん、来ましたよ。ー


おやおや、二人でお迎えですか。

嬉しいですね。

ほら、思った通り、あなた達に会えましたね。


「お母さん!おばあちゃん、こんな所で眠ってるよ!」

「ええ!?お母さん、起きて下さい!帰りますよ。」



娘と孫の声が遠くで聞こえます。

ごめんなさいね。

私、もう行かないと。

だって、素敵な王子様が二人も迎えに来てくれてるのだから。

あなた達は、私が居なくても、もう大丈夫ですものね。


「さぁ……。行きましょうか。」


私は、勇気と春希の手を握ると、旅に出た。

もう二度と離れる事の無い、永遠の愛の旅へ……。


愛しい人達の元へ、旅立ちます。







〜Fin〜

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小さな大人と大きな子供 こた神さま @kotakami

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