天使たちの新たな旅立ち
夏の終わりを告げる風が、古びた教会の窓を軽く揺らしていた。
セラフィムの3人とデビルズチャームの面々が、教会の庭で向かい合っている。
アリエルは、黒のタンクトップにダメージジーンズという普段着姿。
日に焼けた健康的な肌が、夏の思い出を物語っている。金髪を後ろで軽く束ね、凛とした表情で立っている。
「まさか、こんな形で別れることになるとはな」
ルシフェルは、赤のミニワンピースに黒のジャケットという大胆な装い。
長い赤髪が風に揺れ、妖艶な雰囲気を醸し出している。
「ええ、思いがけない出会いだったわ」
二人は、少し照れくさそうに視線を合わせる。
その間には、言葉にできない何かが流れていた。
セラフィナは、紫のブラウスに白のスカートという大人しめの服装。
長い紫髪が背中で優雅に揺れている。
サングラスの奥の瞳が、静かな別れを惜しむ様子。
「良い経験になったわ」
アスタロトは、黒のライダースジャケットにダメージジーンズというロックな出で立ち。
短い銀髪が風になびき、クールな表情の中に少しの寂しさが垣間見える。
「へっ、まあな」
二人の間には、言葉以上の理解が芽生えていた。
ミカは、ピンクのフリルワンピースに身を包み、無邪気な笑顔を浮かべている。
小柄な体つきながら、その愛らしさは人を惹きつけて止まない。
「また会えるよね?約束だよ!」
ベルフェゴールも、黄色のワンピースで明るい笑顔を見せる。金髪のツインテールが風に揺れ、無邪気さの中に悪魔らしい魅力が光る。
「うん!絶対だよ!」
二人は固く手を握り合い、別れを惜しんでいる。
ザカリエルが、少し離れた場所から6人を見守っている。
今日も相変わらずのサングラス姿だ。
「よし、じゃあ出発の時間だぞ」
デビルズチャームの3人が、黒い車に乗り込む。
窓から手を振る3人に、セラフィムのメンバーも手を振って応える。
車が走り去り、その姿が見えなくなるまで、セラフィムの3人は立ち尽くしていた。
アリエルが深いため息をつく。
「なんだか...寂しいな」
セラフィナが静かに言う。
「ええ、不思議な気分ね」
ミカは、まだ元気に飛び跳ねている。
「でも、また会えるよ!絶対に!」
ザカリエルが3人に近づいてくる。
「さて、お前たちにも新しい任務がある」
3人が驚いた表情でザカリエルを見つめる。
「新しい...任務?」アリエルが尋ねる。
ザカリエルがニヤリと笑う。
「ああ、今度は海辺の町だ。そこで、人間たちの心を癒す活動をしてもらう」
セラフィナが冷静に質問する。
「具体的には、どういった活動なのかしら?」
ザカリエルが説明を始める。
「その町では、最近、人々の心が荒んでいるんだ。お前たちの力で、彼らに希望と癒しを与えてほしい」
ミカが目を輝かせる。
「わぁ!海辺の町かぁ。楽しみ!」
アリエルが腕を組んで考え込む。
「人間の心を癒す...か。簡単じゃなさそうだな」
セラフィナが付け加える。
「でも、やりがいはありそうね」
ザカリエルが続ける。
「そうそう、それと...今回はアイドル活動じゃない。普通の女の子として生活しながら、こっそりと活動するんだ」
3人は驚きの表情を見せる。
「普通の...女の子?」アリエルが戸惑いの声を上げる。
「こっそりと...ね」セラフィナが思案顔で呟く。
「えへへ、楽しそう!」ミカは相変わらずの上機嫌だ。
ザカリエルが説明を続ける。
「お前たちは、そこの高校に転校生として入学する。そして、クラスメイトたちと交流しながら、彼らの心の闇を癒していくんだ」
アリエルが驚いて叫ぶ。
「高校!?俺たちが!?」
セラフィナも珍しく動揺を隠せない。
「人間の学校...興味深いわ」
ミカは飛び跳ねて喜んでいる。
「わぁい!学校に行けるんだ!」
ザカリエルが最後の指示を出す。
「よし、じゃあ荷物をまとめろ。明日の朝一番で出発だ」
3人は慌ただしく準備を始める。教会の中は、荷物をまとめる音と、3人の会話で賑やかになる。
翌朝、早朝の光が教会を包み込む中、3人は出発の準備を整えていた。
アリエルは、白のTシャツにジーンズという動きやすい服装。
大きなボストンバッグを肩に掛け、少し緊張した様子で立っている。
「よし、行くか」
セラフィナは、淡い紫のワンピースに白のカーディガンを羽織っている。スーツケースを静かに転がしながら、冷静な表情を浮かべている。
「ええ、新しい冒険の始まりね」
ミカは、ピンクのTシャツにデニムのショートパンツという元気な格好。リュックサックを背負い、はしゃぎながら二人の周りを走り回っている。
「わぁ!早く行こう、早く!」
ザカリエルが、3人を見送る。
「気をつけて行けよ。時々様子を見に行くからな」
3人は頷き、教会を後にする。
朝日に照らされた3人の後ろ姿が、新たな冒険への期待と不安を物語っている。
バスに乗り込む3人。窓から見える景色が、徐々に都会から田舎へと変わっていく。
アリエルが、窓の外を見つめながら呟く。
「人間の心を癒すか...簡単じゃなさそうだな」
セラフィナが静かに答える。
「でも、きっと学ぶことも多いはずよ」
ミカは、座席で跳ね回っている。
「きっと楽しいよ!新しい友達もできるかな」
バスが海辺の町に到着する。3人が降り立つと、潮風が彼女たちを出迎えた。
目の前に広がる青い海。カモメの鳴き声。古い街並み。
アリエルが深呼吸する。
「ここが...俺たちの新しい舞台か」
セラフィナが町並みを見渡す。
「素敵な町ね」
ミカが海に向かって走り出す。
「わぁ!海だ!」
アリエルが慌ててミカを引き戻す。
「おい、ミカ!まだ行っちゃダメだ」
セラフィナが冷静に言う。
「そうよ。まずは宿舎に向かわないと」
3人は、地図を頼りに宿舎を探し始める。
狭い路地を歩きながら、時折迷子になりそうになりながらも、なんとか目的地にたどり着く。
古い2階建ての一軒家。これが、3人の新しい住まいだ。
家の中に入ると、少し埃っぽいが、温かみのある雰囲気が3人を包み込む。
アリエルが部屋を見回す。
「まあ、悪くない環境じゃないか」
セラフィナが台所を確認する。
「ええ、十分ね」
ミカが2階に駆け上がる。
「わぁ!屋根裏部屋みたい!」
3人は荷物を解き、新しい生活の準備を始める。
その夜、3人は屋根の上に座り、星空を見上げていた。
アリエルが静かに言う。
「なんだか...不思議な気分だな」
セラフィナが頷く。
「ええ、まるで本当に人間になったみたい」
ミカが星を指さす。
「あれ、天界かな?」
3人は笑い合う。天使でありながら、人間として生きる。
その矛盾と可能性に、3人の心は期待で満ちていた。
明日から始まる新生活。高校生として、そして密かな天使として。
アリエルが決意を込めて言う。
「よし、頑張るぞ」
セラフィナが静かに頷く。
「ええ、全力で」
ミカが元気よく叫ぶ。
「うん!楽しもう!」
3人の新たな物語が、ここから始まろうとしていた。
海辺の町で、天使たちはどんな冒険を繰り広げるのか。
人間の心を癒すという使命は果たせるのか。そして、彼女たち自身はどう変わっていくのか。
それは、また別の物語――。
本物(マジ)天使、何故か人間界でアイドル修行中 島原大知 @SHIMAHARA_DAICHI
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