憧れの章 第1話 酔いしれる②

目を覚ますと、いつもの天井。今日も代わり映えはしない。全く昨日と同じ、もしくは一昨日ともだろうか。

単調な日々はその数だけ残して溶けていく。

あまりにも淡白で無機質な私の日常は今日も始まった。


また死体が流れてきた。今回の死体は顔がはっきりしていた。死体は何故か誇らしげな笑みを浮かべていた。その死体を見ると死が怖くないように思えてしまう。

私はその感覚が逆に恐ろしくなりその死体をそそくさと海に沈めた。


今日もまた白桃色の閃光は美しく空を照らしていた。閃光は他の光の爆発をも飲み込み、実に今日も、光り続けて3時間ほどをすぎようとしていた。


やはり惚れ惚れする。私はその光をじっと眺める。


……私が違和感に気づいたのはその直後だった。


あの美しくも激しい光が急に速度を衰えさせ、遂には落ちていってしまった。


私は呆気にとられて、落ちた先をただぼやぁっと眺めた。

気を取り戻し、その後空を見上げても、あの光はいない。

「どう、して……?」

その言葉が私から漏れ出す。


閃光は消えた。胸には果てしない喪失感が残った。辛い、あれがなんなのか、正体も知らないものを失っただけなのに、、、辛い。

私の心はあの光とともに、若干のトキメキを失いつつあるようだ。


私は今日は寝床に戻り、落ち込みを決め込むことにした。


明日また光が戻ることを願いながら……

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モンスター娘は魔法少女の夢を見るか? 浮浪にわか @saiore1424

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