第3話 初相談と友人

 今日から相談室が解放される。今日から放課後は毎日相談室で活動している可能性もあるということだ。

「すず~忘れ物ない?」

 今日の荷物は大丈夫かな?...あっぶな、SP忘れるとこだったわ、学級委員が忘れものとかシャレにならないよな。

「お母さんありがとう。行ってくるね」

 ~~~~~

 「はぁ」

 「どうしたんだよ、涼叶。やっと今日から普通の授業だってのに」

「いやさぁ、今日から普通の日程じゃん?つまり今日から相談室にずっといる可能性があるんだよね」

「あぁ~、それはつらいな」

「だろ?まぁそんな重くない相談ならいいんだけどなぁ~」

「そうだね。俺もそうなるように願っとくよ」

「ありがとな」

 

 そのまま、新川と一緒に教室に入って少し話していたら一人の女子が話しかけてきた。

「新川君って推理小説好きなんだよね?私もちょっと違うけどミステリー系のマンガ好きなんだよね。名探偵アーティって知ってる」

「えぇ~っと、知ってるよ。あの話も結構面白いよね」

「あ、自己紹介してなかったね。私春原利香すのはらりかっていうのよろしくね」

「知ってると思うけど、新川優治です。よろしく」

 春原さんは隣の僕を見て少し不思議そうな顔をしながら言った。

「能條君もミステリーとか推理もの読むの?」

「推理小説もよく読むけど、アーティのほうがよく読むかな。あとは異世界転生系の本も読むかな」

「アーティって単行本で読んでる?それともWEB?」

「WEBで読んでるよ」

「本当!じゃあ最新話の~」

「ストップ。僕は単行本で読んでるから。ネタバレしないでほしい」

「ごめん配慮すべきだったわ」

「こっちもごめんなさい」

「いやわかってくれたら大丈夫だよ」

 その後、話が盛り上がってるうちに8時30分になった。授業の始まる時間だ。幸い先生はまだ来てないみたいだから助かった。次からは注意しないとな。

 ガラガラ~

「席に着け~、授業始めるぞ。学級委員、号令」

「起立、気を付け、礼」

「まあ最初授業だから今日は俺の自己紹介とオリエンテーションをしようと思う」

「せんせー、オリエンテーションって何ですか?」

「オリエンテーションってのはこれからどんな感じで授業をしていくかとか、成績の評価の仕方とか必要なことを説明していくことかな。理解できたか?」

「はぁーい。ありがとうございます」

「じゃあ始めるぞ、まず俺はこれから一年間数学を教えていく本田だ。一年間よろしくな」

 ~~~~~

 午前中は授業すべてがオリエンテーションだった。まあ授業があるよりかは楽だから、こんな日が続けばいいなって思ってしまう。

「涼叶、飯食いに行こうぜ。どうする?食堂行く?それとも外食?」

 一瞬お弁当という可能性を考慮しないのか?と疑問に思ったがこの学校では生活費が出るため、わざわざお弁当を作る親がいないのか。それに俺らも外食とか食堂で一緒にわいわい食べたいしな。まあ学年末になったらもしかしたらお弁当持ってくるやつもいそうだが。

「給食は明後日申し込みの来週スタートだっけ?」

「そうだな」

「なら食堂行くか。結構うまかったし」

「お前食べたことあるのか?」

「あぁ、入学式の日に学級委員会があったんだけどその時に午後までかかりそうだからって食堂で飯を食わせてもらったな」

「そうなのか。まあうまいっていうなら行くか」

「新川君、能條君、私も一緒にご飯食べてもいい?」

「僕は大丈夫だよ、涼叶は?」

「僕もいいよ」

「ありがとう」

 そうして僕たち三人は食堂に移動した。

 

 食堂に入ると席が空いているのか分からないくらい混んでいて、並んでいる人も沢山いた。

「すごい混んでるね」

「委員会の時に鈴木先生も昼休みに食堂が混むことは言っていたけどここまで混んでいるとは思わなかったな」

「席あるかな」

 見渡すと開いている席はないようだったが幸い席自体は余っているようなので仲のいい人がいれば相席して食べられそうだった。

「涼叶~ここなら席空いてるぞ」

 ふとその方向を見ると古城風音こじょうかざとと桜奏未ともう一人の女子がいた。彼、古城風音は小学校からの友達でオタ友といった感じだ。風音はミュージカロイド(ミュジロ)の音楽が好きで中学生になったらライブに行くと言っていて中学生に早くなりたいといった感じだった。

「風音、委員長相席してもいいかな?」

「桜さん、画本えもとさんいいよね?」

「「うん」」

「ありがとう。じゃあちょっとご飯買ってくるからちょっと待ってて」

~~~~~

「じゃあとりあえず自己紹介しとく?」

「そうだね。じゃあ俺から、古城風音です。最近はミュジロの音ゲーが出たからそれやってます。これからよろしく」

「次は僕かな?僕は能條涼叶。学級委員をやっていて、普段は本読んだり、こいつの影響でミュジロ聞いたりしてます。よろしく」

「僕は新川優治。普段推理小説読んでます。よろしく」

「春原利香です。アーティが好きで結構読んでます。よろしくね」

「桜奏未です。学級委員長になりました。私もミュジロが好きで、人工Pの曲が好きです」

画本咲絵えもとさえです。新川君と同じ小学校出身です。マスPを最近始めてAPとかもできるようになりました。これからよろしくね」「次は僕かな?僕は能條涼叶。学級委員をやっていて、普段は本読んだり、こいつの影響でミュジロ聞いたりしてます。よろしく」

「マスPっていうのは?」

「ミュジロの音ゲーの事だよ。最近出たって言ったやつのことだよ。それにしても画本さんすごいね。まだフルコンもできてないのに」

 そう言って風音が落ち込んでいると新川が言った。

「僕たちは3組なんだけど、みんなは何組?」

「私たちは二組だよ。でも隣といっても一緒に授業することはないらしいから学校ではあんまりかかわりがないかもね」

「まあ委員会で僕と桜さんはかかわるわけだから、委員会とか部活が一緒ならあったり話したりすることもあると思うけど...。みんなはなんか部活入るつもりある?」

「部活って何があるんだっけ?まあ俺は入るつもりないかな」

「確か、運動部は陸上野球バスケテニスダンス水泳弓道剣道卓球バレー柔道女子ソフトで文化部は吹奏楽文芸漫画美術和太鼓華道茶道勉強があったな。僕は勉強部かな」

「涼叶、僕も勉強部に入るつもりだよ」

「私は和太鼓部かな」

「私と咲絵は美術部のつもりだよ」

 キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン...

「そろそろ授業始まるし戻ろうか」

「そうだな。じゃあみんなまたな~」

『またね~』

  ~~~~~

 この日は午後もオリエンテーションばっかでやはり少し退屈だった。終学活が終わり、みんなは帰路につくところだが学級委員は相談のために学級委員用の相談室に行かなければならない。相談が入っていない時でもだ。理由は説明されなかったけど、おそらく相談の有無がばれるといじめの被害者がさらなる被害にあうことが起こりうるからだろう。ちなみに相談がなくて相談室にいるときの時給は発生するからかなりホワイトだと思う。俺は相談が入っていて暇することはないだろう。

 ピッ

 どうやら来たようだ。どんな相談かな。初めてだからあんまり重いの来ると困るんだけどなぁ~。

『勉強についていけるかが不安です。どうすればいいと思いますか?』

「勉強とひとまとめに言っても国語、数学、英語、社会、理科があるので何の教科のどこが不安なのか教えてもらえますか?」

『今日の内容で不安だったのは数学でやる内容ができなさそうだったところです。小学校でも算数では点数が取れなくて...。だからより難しくなった内容ができるか不安です』

「初めにやる内容は正の数負の数っていって、プラスとマイナスで四則演算するだけだから四則演算さえできれば問題ないと思う。いつから算数で点が取れなかったのかは知らないけど、点を取りたいなら四則演算の復讐をした方がいいと思うよ」

『あとは理科社会の暗記が苦手でどうすればいいのかを知りたいです』

「僕がいつもやっているのは授業とかでやった重要語句をまとめてそれを何回か読んだ後に問題集を解いて分からなかったところは何回もやり直す。そして完璧にできるようになったと思ったら、また初めからやるっていう繰り返しかな。まあ暗記は人によってかかる時間が違ったりするからがんばってね」

『わかりました。やってみます』

 こうして僕の初めての相談が終わった。この後にも同じような相談が3件あってこの日の相談は終わった。帰ろうとして相談室を出たら、桜さんも帰えるところだった。姿勢とため息から彼女も同じく相談に乗っており、かなり疲れているようだった。僕とは違って重い相談でも来たのだろうか。でも外部に内容が漏れないように相談内容を話すことは禁止されているため気になったが聞けなかった。

「桜さんも今終わったところ?」

「そうだよ。報告書を書くのって大変なんだね。これが少なくとも半年続くって考えると少しいやかも」

「まあ僕もそう思うけど、激務になるからこそアルバイトみたいな感じになってるんでしょ。それなりに時給もあるし」

「それもそうだね。涼叶君はもう帰るの?」

「うん。風音の言ってたマスPをやってみようかなって。音ゲーは初めてだけど動画で見てやってみようと思っていたからね。桜さんはマスPやってるの?」

「う~ん、始めるか迷ってるんだよね。ほかの二人は楽しいからやろうって誘ってくれるんだけど、ほかにも似たような音ゲーやってるし、やれる時間もなさそうだしでできそうにないかな~って」

「時間ないのは同じかな。まあ無理には言わないけど一緒に始めてくれたら攻略的な感じで楽しめると思ったりはしてる」

「まあ考えてみるよ。涼叶君って家どこにあるの?」

「僕は学校出て高架下通ってすぐだよ」

「私は坂の上だから方向違うね。まあ途中まで一緒に帰らない?」

「うん。いいよ」

 そうして帰りは途中まで桜さんと帰った。先生のイメージや相談で手に入るお金の使い道などを話した。結構仲良くなれたと思う。まあこれから一緒に帰ることが増えると思うし仲良くしておいて損はないだろう。


__________

筆者のSuknowです。書いておいた分はここまでなので次回の更新は一週間から二週間後になると思います。モチベにつながるので感想とか質問を書いてくれるとありがたいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

死の瀬戸際の世界で僕たちは @Suknow

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ