男の強さとは…

@J2130

第1話

「男は強くなくては生きてはいけない、優しくなければ生きていく資格がない」


 ハードボイルド小説の傑作、レイモンド・チャンドラーが造ったヒーロー、フィリップ・マーロウの言葉ですね。

 御存じの方も多いでしょう。


 一度は誰かに言ってみたいものです。


 その前にまずは

 強く

 優しく

 ならないと…


 バーで「ギムレット」を頼むところからだな…

 最初は。

 学生時代に一度だけ試しました。



 男の子というものはそんな強い優しいヒーローが好きでして…

 少しだけでも真似できればな…と思うのです。



 せめて形だけでも…



「イタリアの種馬、ロッキー・バルボア」にもなりたいです。


 とりあえず…


 薄いグレーのパーカーを着て

 ロードワークをする。

 肉を拳でたたく。

 生卵を5個そのまま飲む。(きつい…)

 気弱だけど可愛い店員さんのいるペットショップで亀を買う。

 たまに餌を買いに行く。

 デートに誘う。

 閉店後のアイススケート場が理想だけど、ちゃんと開店時間に行く。


 どうでしょう、ほぼ完璧です。


 そして最後に…

 マラソンとか走ったあとに…


「エイドリアーン」

 もちろん現実世界の人の名前に置き換えてくださいね。


 きっとうまくいくはずです。

 うまくいってますものね、映画では。



 キャプテン・ハーロック好きですか…?

 かっこいいですよね。

 やっぱり声は…石川五ェ門と同じく井上真樹夫さん。


「男には負けると分かっていても行かなければいけないときがある。死ぬと分かっていても戦わなければならない時がある。鉄郎はそれを知っていた」

 

 うん…かっこいい。


 これ似たような感じで使いました。

 本当です。


 ちょっと面白いことを言いました。

 家族の前で。


 まあ、こんなレベルのことです。

 実際になんと言ったかは忘れました。


「パンチ、パンチ、フルーツポンチ…」

「みかんがみっかんねえ…」

「まいったまいったマイケルジャクソン」

「こまったこまったこまどり姉妹」

「しまったしまった島倉千代子」

 

 場を和ますためにね…結果はわかっているのです、でも…


「りほ…

 男にはうけないと分かっていても

 ギャグを言わなければいけないときがあるんだ。

 流されるとわかっていても

 冷たい目で返されると知っていても

 発しなければいけない時があるんだ。

 パパはね、それを知っているんだ…」


 南極ぐらいの冷たい目で父親を見つめながら娘は言いました。


「知っているなら言わないほうがいいと思う」


 父親は鉄郎と同じくらい、それでもめげないくらいの強さを持っている男の子なのです。

      了

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