DAY2)こんな時代もありました

昔、先生の下での勉強会に参加していた時のこと。

たしか、十牛図を描こうというテーマの時だったと思います。

十牛図の1図を見てから瞑想に入り、自分の中にある1図の物語と出会い、それを描くというものでした。


その時に見てきて描いたビジョンは、

向こうの方まで広がっていく川、その川の左側には笹がかかっている、こちら側からあちら側へと流れてゆく川、というようなものでした。


それを描いた後、どれくらいしてからだったのかは覚えていませんが、思いがけず、その風景と似ている風景に出会う、という出来事がありました。



それは、以前働いていた職場の仲間と山登りに行ったときのことでした。

山登り、といっても、その時はハイキングくらいの気持ちで行くことができる場所で。

その目的地までは、電車に乗って、乗り換えもして、着くまでに数時間はかかったと思います。


それでも、やりたいことであれば、どこへなりとも行くぜ!というフットワークの軽さを当時は持ち合わせていたので、時間がかかっても電車や徒歩で行けるなら大丈夫!と思い、あちらこちらへとお出かけしていました。


そのいつもの軽さで、参加したハイキング。

以前の職場でお世話になっていた仲良しの先輩と、その仲間の方々と出会い、一緒にゆる山ハイキングをさせていただきました。 


その方々は、公的な機関で働かれている方たちで、私はそこを退職して、別の場所で働いているところでした。

そこで働いていたとき、私は臨時の職員でした。

他の方たちは皆さん正規の職員さんで、その場所でずっと働いているという方々でした。


私が働いていた部署のおとなりはまた違う部署だったのですが、そこの先輩にもよくしていただいていました。面白がってもらい、話を聞いてもらったり、気にかけていただきました。


その先輩は、とても面倒見がよくて優しくて、いろいろな方に好かれていました。

ゆる山会、と称したそのゆる山登山サークルもその先輩が作り、いろいろな部署のお仲間を誘って運営されていました。


先輩自体も、とても面白い経歴をお持ちだったように思います。

以前は首都圏の建築設計に関わる企業でバリバリと働かれていて、社内で社長賞をもらうくらいに成果をあげていらっしゃったようでした。


それが良いこと、家族や奥様のため、と思われていたようで、すごく一生懸命に働かれていて、ご家族や奥様に贈り物をされたり、いろいろな場所へと家族を連れてお出かけされたりもしていたようです。

けれど、体調を壊されることがあり、その時に、奥様と大切にしたいことに関しての価値観が違っていた、というに気付かされたようでした。

それがきっかけで会社を退職され、関東圏にあるご実家がある地域へと戻られ、今の職場に転職されたとのことでした。


お金を沢山いただくことはできるけれど、忙しくて家族と過ごす時間がほとんどなくなるという生活ではなく、お金は前職よりは少なくなるけれど、ご家族と一緒に過ごすことができて、お子さんにも関われてゆとりのある時間を過ごすことができる、という生活へとシフトされたのだなあと思いました。


そんな風にいろいろなことを体験してこられている先輩でしたから、私も安心して、いろいろな自分の身の上を相談したり、話を聞いてもらったりしていました。

桜の季節、お昼休みに桜が舞う公園で悩みを聞いていただいたこともあったなあと思います。

時々に頼らせていただき、安心できる時間を過ごさせてもらっていました。


そんな先輩が運営されていた会に、職場を辞めてからも声をかけていただき、数年の間、参加させてもらいました。

初めましての方たちとも一緒に、同じ仲間として過ごさせてもらいました。


日常を離れ、いつもとは違った環境で過ごすことのできる大切な時間でしたし、特別な時間であり、思い出です。


そんな皆と、とある場所へとハイキングに行ったとき、ふと、とある風景が目に留まり、写真を撮りました。

その風景が、自分が以前、十牛図の1図のビジョンをみて描いた場所に似ていたから、でした。


なんとなく惹かれる、自分の好きな風景。

意味はまだ分からないけれど、きっと自分にとって大切なことを思い出させてくれる風景なのだなと思いました。


そんな出会いがありました。 

 

ご縁に繋がれて出会えた大切な仲間達と大切な時間を過ごすことができていたということ、さらに自分が見たビジョンの風景にも出会えることができたという驚き。

その場所に運んでもらうことになった仲間たちとのご縁とか、そこに至るまでの日々とか、いろいろなことがあったなあと思います。


ご縁に繋がれて、いろいろな方に助けてもらいつつ、今日の自分が存在しているなあとあらためて思います。



さてさて。

今とはまた違う日々を生きていた頃の私。

たくさんの出会いと繋がりのお陰で、出会うことのできた風景がありました。


「こんな時代もありました」というお話でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あまのざくと千と一夜 まよみ遊 @amanozaku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ