第二話(回想)

外に出てみると星が奇麗だった。空の上では誰かが星となり橋となる。そこで結ばれる男女がいる。煌びやかなネオンと頭の上に輝く光。それはそれは、幻想世界のようだった。久しぶりに外出した僕にとって、街路をうろつく黒服のお兄さんたちは脅威でしかなかったが、そんなことはどうでもよかった。らりっちゃんに連絡し得てみる。しかし、なかなかスマホが開けない。

厭になる気持ちを抑えながら、酩酊する頭にスマホを押し当てながら、考えてみる。まずは自分の誕生日、


「えっと、12月24日、めでてぇ誕生日だな」


頭に電撃を食らった。あの甘い匂い。時々あらわれるシガレットの煙たさ。間違いない。アイツだ。

「1225」


スマホがいつも通り開いた。




 

あいつと出会ったのは、8年前、僕がまだガキだったころだ。あいつは確か、僕の二個上で。校庭を一緒に駆けずり回っていた。わけもわからず、抱き合い。キスをした。その時はそれが何を意味するのか分かっていなかった。その意味を理解したのは今から5年前、たしか中学のころだ。突然あいつからラインがあって家に遊びに行ったのだ。


「俺んち、来いよな。」


「いいよ、○○ちゃん」


僕はルンルンで遊びに行ったのを覚えている。

あいつはそうやって、僕を家に招き入れると、なんだか慌てた雰囲気だった。


「お兄ちゃんの部屋行ってくるから待っとけよ」


「わかったけどさ、僕ここで待っとけばいいの?てかさ、今日ママたちいないわけ?」


「いないよ」


「そっか、でもママたちいないと入っちゃいけないって」


「いいの、気にしない」


そうやってあいつは吐き捨てて、部屋に行き超特急で戻ってきた。


「じゃ、俺の部屋来な!」


「うん」


そのあとの事はここで語るまでもないかもしれない。あの頃僕は幼かった。中学生の割には体は小さく。特に、親に反抗したこともなかった。


あいつからの誘いで、初めてがでた。


でものちに分かったのは、ゲイではなくてストレートだってことだ。





「栄ついたよ、あ、でも今さ、錦?ぐらいのところいるかも」


「おっけー。いつものドンキの下きてくれない?」


チャットしているうちにすこし酔いが醒めたのであった。

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忘れもの @igarashiryou

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