第13話 龍の母たる方
目覚めるとそこは船着場の様な場所でした。
ただ、そこの場所を管理しているのは巫女装束を着た、20代半ばとおぼしき女性でした。
女性はそろそろ船が着くことを知らせています。
そして、一艘の船が着きました。その中からはたった一人の男性が降りてきました。
その男性は、平安時代のような白装束を纏いゆっくりと歩みを進めています。
ですが、その足には水流のようなものを履き、足を動かさず、滑るように進んでいました。
そしてそのまま、別の船へと乗り込みます。
すると、巫女の女性に一緒の船に乗るように言われ、自分も乗り込みました。
程なくして船は海へと繰り出しました。
時間にしてどのくらいでしょうか、船は海の真ん中で止まりました。
船には数人乗っていましたが、その場で降り始めたのは白装束をきた男性でした。
男性はゆっくりと海へ足を運ぶと、自分に一緒に来るように告げてきました。
自分は「海の上は歩けない」と言いますが、男性は「大丈夫です。私の後に続きなさい」と言いました。
恐る恐る海面に足を乗せると、男性の言う通り全く沈みません。それを確認すると男性はそのまま海面を進みます。自分も後に続きます。
しばらく、海面を進むと霧がかかった島が見えました。男性はその前の海面で正座をすると、自分にも同じようにと促します。
言われるまま、自分も海面に座ると、男性は「これから
これに従い復唱します。
すると、島にかかっていた霧が晴れ、上陸できるようになりました。
男性は立ち上がると島に足を踏み入れます。
自分はそれに続いて足を踏み入れます。
その島はどことなく神社の境内を彷彿させる感じで、男性の後を追うように進むと、三つ並んだ社がありました。
そして自分はなぜかその社から《宗像三女神》の気配を感じました。これを横目に男性の後に続いていると、ふと頭に過ったのは出雲大社の《大国主命》様の存在でした。
なぜかそれを読み取ったかのように、男性はゆっくりと進みながら自分に言ってきます。
「そのかたも《龍》であるのにまだ訪れていないのですね。ですが、直に来るでしょう」
確かに、この方のおっしゃる通り、大国主命様は龍の姿をとることもあります。
ですので、男性が言っていることは間違いなく自分が思い浮かべた大国主命様のことなのだろうと思いました。
男性はそのまま進みます。
石階段を上り右にある建物の中に入ります。建物は木造二階建てで、木製の階段を上がると、左手に横開きの扉がありました。
その横には2人の巫女がおり、扉を開けてくれました。そして中へと入るように言われました。
言われるがまま中に入ると、その中は30畳はあろうかという畳敷の大広間でした。
そして、その一番右奥には小さな《社》があります。
ですが、その社は今までとは違い、その周囲の空間が歪んでいました。その上、今自分が入っているこの部屋はなんだかかなりのプレッシャーと感じ取れる気配があります。
男性は相変わらず歩みを進め、奥の社へと向かっています。自分もどんどん社に近づきます。すると、社まで3メートル程のところで自分の左側から黒髪ワンレン。
着物を着た男性が前触れもなく現れました。
その顔には見覚えがありました。
その方は間違いなく大国主命様その人です。
そして、自分を含め3人は社の前に正座をしました。一番近くに白装束の男性。その男性の左斜めの位置に大国主命様。そして、その右斜後ろに自分という位置関係です。
しかし、座ったまではよかったのですが、その周囲のあまりの圧迫感に息苦しくなり、そのまま夢の中で意識を失いました。
そして、次に目覚めると、大国主様と白装束のお2人は姿がなくなっていました。
その代わり、巫女の方が自分が目覚めるまで待っていてくれていたみたいで自分に言います。
「──お2人共ご心配なさっていましたよ。それに彼の方も心配なさっていました」
恐らく、〈
そして続けて巫女の方は言います。
「彼の方からの言伝です。『私の所まで来るのを待っていますね』だそうです」
そして巫女の方は続けて──
「そろそろ時間のようです。あなたの世界にお戻り下さい」
そう言うと、自分は夢から覚め寝室の天井が見えました。
後日、この事を以前からよくお世話になっているこの『夢のお話し』に度々出させていただいている、神仏に詳しく、関係のある方に聞いてもらいました。
その方がおっしゃるには、やはりお一人は《大国主命》様であり、白装束の方は島根県松江市の《美保神社》の事代主神(えびす様)だそうです。
そして、社の向こうの方は、全ての龍の母であるそうです。
神々の頂点に存在があり宇宙神とも言われる以前も書かせていただいたことがある、《
自分がお世話になっている方は、一度お会いしたことがあるそうです。
その女性の姿は、長い黒い髪をしていたそうです。大きな椅子に腰をかけ、傍に白い龍が控え、その膝の上に、白い龍が頭を乗せており、その頭をゆっくりと撫でていたそうです。
そしてその方が言ったそうです。
「人には中々私を見ることは難しかっでしょう。しかしよく来ましたね」
笑顔でそう言っていたそうです。
そして別れ際に続けて──
「──私はこの世の全ての龍を愛しています。愛おしい私の
と言ったそうです。
これからも自分はどんな夢を見るか分かりません。
しかし、もし機会があるのならその方に会ってみたいと思っています。
現在も、進行形で様々な夢を見ています。
書けない夢もありますが、また書ける夢を拾い出し書かせていただけたら思います。
一先ずは、ここまで読んで頂きありがとうございます。ここで一旦終わりとさせて頂きます。
お付き合い頂きありがとうございました✨
夢のお話し ハクアイル @Hakuairu
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