2杯目 祭りだ!祭りだ!ビールフェスだ!
吾輩は人見知りである、友達はまぁ少ない。
そんな数少ない友人の一人に誘われ、私は鉄板が如く熱されたアスファルトの上で目的地へとひたすらに歩を進める。
「ジージー、ジリジリジリ」とアブラゼミとエゾゼミの混声大合唱を聴きながら林に囲まれた坂道を下る。
林を抜け、街中へようくたどり着く。
目的地の道すら人が徐々に増え皆が一様に目指すその先はオアシス……!! ではなく、ビールフェス会場なのだった。
北は北海道、南は九州まで津々浦々のクラフトビールのブルワリーが集う、ここはやっぱりオアシスだ!
体育館がすっぽりはいるのでは?と思うほどに広いテントの中にはみっちりと長机が並べられ、平日だというに既に満員御礼!
なんとか席を確保していざ狩へ。からっからの喉にはまずはさっぱりフルーティに宮崎県のヘイジーIPA。一杯目を瞬殺してお昼ご飯を探しながら二杯目へ。
ソーセジに、ピザ、焼きそば、チャンジャ!ビールに合わぬものなどない!という勢いで食べる飲む。昼間からほろ酔いの背徳感が堪らない。
もっぱら普段はクラフトビールより缶のラガービールを消費する私だけれど、世の中にはまだまだ知らないビールが沢山ある。
今回、変わり種ビールで最高に美味しかったのがトロピカルスムージーエール。
スムージーなビールって……どうせなんとも言えない中途半端なやつなんでしょ、なんて飲んでみたらこれが、うまい。
フルーツ系のビールってフルーツが使われてはいても基本ビール感強めなんだけれどもこれはもうがっつりトロピカルな甘みと酸味。だからといってジュースで終わるわけではなく最後はきっちりビールの軽い苦みと抜けで締めくくられるというなんとも不思議な飲み心地。それが全て違和感なくまとまっている一品!
そうこうしているうちに気がつけば開会から一時間が経っている。特設のステージ上がなにやら賑やかに。
このフェス、一時間に一回乾杯タイムがあるのです。
乾杯の音頭をとるのは地元の市長だったり、青年会…はたまた◯◯市から旅行に来た一団です!とかでほっこりする。
私はこの乾杯イベントが大好きだ。
舞台上の「かんぱぁーーーーい!」に続いて、前後左右両隣、全くの見ず知らずの老若男女達と乾杯する。みんなすっごい笑顔、なにせみんな酔っ払ってるからね!
さて、私は冒頭に書いた通り、いい歳して結構な人見知りである。がしかし、このフェスにおいてはそんな私はぐっばい!
今年も素敵なおじさま達と酒談義に花を咲かせ、ビールに始まりおすすめの焼酎日本酒を教えていただき、5回くらい共に乾杯をした。
ちなみに去年お隣になったご夫婦とは今も軽くご連絡をとる仲だ。
私はお酒はもちろん好きだけれど、お酒で作られるこういう楽しい雰囲気、場所、人が好きなのだ。……そう、だからお酒は計画的に。帰るまでが酒飲みだよ。
気がつけば青かった空は夜の帷につつまれ、辺りは真っ暗に。電飾に照らせるテントに少し涼しい風が流れ始め、ステージ上では地元のバンドが軽やかなリズムで南国が似合うメロディを奏でている。
締めに香ばしくどっしりと重い黒ビール栗黒(ビールとしては度数お高めの9%)をぐびりとあおり家路に着く。
最高に楽しい祭りだった。
しかし祭りはまだ終わらない。
友人宅にて哀れな友人夫が酔っぱらい二人に駄々絡みされるという二次会が幕を開けるのだった……。
酒クズ日記。 さっこ @sacco_k
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