ハネムーン無いけど、ミシエラに帰ろう

翌日は、マーガレーテからの念話で起こされた。

お互い寝不足だけど、今日を乗り切ればゆっくり休める…はず。


サンドイッチをお茶で流し込んで朝食を済ませ、メイドさんたちに集られて正装させられたら、すまし顔で高貴な方々のお見送り。

お偉いさん方なので、ちゃんと一組ずつご挨拶してお車を見送ります。

王太子夫妻の名代として来てくれたツェツィーリア殿下が、小さく手を振ってくれてちょっと和んだ。


お見送りは一時間くらいで済んだけど、休む間もなくフォームチェンジしてお祝いの品のチェックとお礼状作成。

貴族家の方々へのお礼状だから、代筆は失礼にあたる。

何とか二時間くらいで書き上げたけど、ペンを使いっぱなしだから指が痛い。


昼食はプライベートエリアで私の正体知ってる人たちで摂れたからほっとしたけど、そのあとはまたお着替えして商工関係の代表者たちからお祝いの品を受け取り、ちょこっとずつ歓談。

各業種別の代表者が来るもんだから、終わったら夕方前だった。


本来だったらこういうのは何日かに分けて来るんだけど、私たちは公爵邸に住むわけじゃないから、これも詰め込みでの対応になっちゃたの。

魔法で回復させた喉が、また枯れた。


夕方になってやっと一息吐けたけど、マジで怒涛の二日間だったな。

いや、返礼品の事前準備とかもしてたから、一週間くらいは動き詰めだった気がする。

返礼品を家格に合わせた魔導機器にしちゃったから、作るの大変だったし。


会場設営や備品の融通、席次や式次をお父様とお母様がやってくれたから何とかなったけど、この世界のしきたりに則って遠方で結婚式と披露宴するのはかなりきついんだと理解したよ。

アンジェリカ、マーガレーテ、二人は絶対地元で結婚式上げるべきだよ。


夕食後、ゆっくりとお風呂に入ってから一日遅れの結婚初夜。

フランツ、これからはあなたの妻としてよろしくね。




翌日は、ベッドでいちゃいちゃする暇もなく朝から出発。

事前の現地入り含めて一週間くらいミシエラ空けちゃうことになるから、早く帰らないとね。


両親とマーガレーテに見送られ、アンジェリカ一家と共に魔導車二台で出発。

ヴォイツで食事休憩だけしたら、夕方までにメトニッツに着いて一泊し、翌夕方にはミシエラに戻る予定です。


アンジェリカが気を利かせてアドルフお義兄様の車に乗ろうとしたけど、フランツは運転楽しみたい人だからこっちに乗ってほしい。

メトニッツまでは、いっぱいお話ししながら帰ろうよ。



ヴォイツでは一日早く帰ってたアルベルト義叔父様と昼食を摂って、隠居後の終の棲家の設計図と内装想像図を見せてもらった。

おお、軽井沢にある完全予約制のカフェみたいじゃん。

羨ましかったので、岩の家の内装配置図で対抗したら、大絶賛しながらも、妖精にでもなるつもりかと突っ込まれた。


アルベルト義叔父様は同好の士なので正体ばらすかとも思ったんだけど、もうすぐ出発なので今は止めておいた。

終の棲家を内覧させてもらった時にでも正体明かそう。



夕方メトニッツに到着したら、商店街の人や顔見知りの兵士さん、教会のシスターたちが代官屋敷に詰めかけ、みんなから祝辞を受けた。

やっぱメトニッツ、あったかくていいな。


本日のお泊りは、代官屋敷の客間。

川傍の家は三姉妹専用だから、フランツも入っちゃダメだよ。

でもアンジェリカ、一緒に眠れなくてごめんね。私たち、一応新婚さんなのです。




翌日はアンジェリカ一家に見送られてフランツと二人でミシエラへ。

待っててねフィリーネ、もうすぐ帰るから。


だけどミシエラに帰ったら、また披露宴やるんだよなぁ。

代官であるフランツの結婚だから、その町での結婚披露は当然らしいの。


お城の中庭で披露宴開く予定なんだけど、当日は全住民に振舞い料理出すから厨房スタッフは大忙し。

お城のメイドさんや使用人だけじゃ足りないので、手の空いてる町の女性陣を臨時に雇い、お城の中庭で宴席を開く手筈。


このために大量の食材を領都や漁村で買い込んだし、長テーブルと長椅子も大量に作った。

おかげで町の周りの森林が後退しちゃったけど、早期に魔獣を発見できるようになったと思えばいい。


当日働いてくれた人達にも後日ちゃんと料理を振舞うし、魔導機器ランタンという記念品も渡す。

ただ、自分で作れるからって、こんなことばっかりしてるから忙しさに拍車が掛かったんだよね。

今度から催事があったら、必要な物は発注しよう。

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