思い付き計画、承認 1/2

私が諦めようとしてた夢、フランツと一緒なら実現可能なのかもしれない。

感情に任せておバカをやらかさないようにフランツが止めてくれるなら、多分私は止まれる。


それに、『友人を一緒に見送ってやる』って言われて、ものすごくうれしかった。

フランツや気の合う仲間たちと一緒に町づくりしてくなんて、たしかにワクワクが止まらない。


だけど期待に胸を膨らませて突っ走っちゃうのは私の悪い癖だから、フィリーネともよく相談して、しっかり考えて結論を出そう。


取り敢えずやらなきゃいけないのはお義父様への計画相談だから、帰りに回り道して寄っていこう。

計画がどう転ぶか分からないから、カグラの姿も見せとくか。

万一王宮からカグラ・シュトラウスについての問い合わせとかあったらことだし。



夕食後のお泊りを辞退して平民街まで送ってもらい、姿を消して一路領都グランツベルクへ。


二時間くらいで領都邸に到着したけど、マーガレーテの反応が無い。

どっかお泊りでお出かけなのね。

ぐぬぬ、政務棟の明かりも消えてるから、今日は早じまいか? そんなに遅い時間じゃないんだけど。

お義父様にコンタクト取るの面倒だな。


魔法で窓のカギを開けてこっそり侵入。

勝手知ったる他人の我が家、姿を消したままふわふわ浮きながらプライベートエリアに移動。


お義父様とお義母様、プライベートダイニングで晩酌してた。

ラッキーなことに二人だけだったので、ちょっとだけドアを開けて室内に滑り込み、遮音の盾魔法展開。


「あら? ドアがきちんと閉まっていなかったかしら?」

「お義母様、アカリです。いきなりですみません」

「まあまあ! ここはあなたの家なのですから、遠慮はいりませんよ。よく来てくれたわね」

「寛いでいるところにごめんなさい」

「そんなことはどうでもいいですから、私のお膝に来て」

「あ、はい」

「よくここまでこれたな。大丈夫だったか?」

「それが、女神様から姿を替えたり消したりできる腕輪をいただいたから、誰にも見つかってないよ」

「女神様からのご下賜品だとぉ!?」

「新型魔導機器を世界に広めたご褒美だそうなの。それなら、フランクリンやマーガレーテにもご褒美あってもいいと思うんだけど」

「止めんか! 女神様にご褒美を要求するなど、畏れ多くて寿命が縮むわ!」

「なんか私だけ頂いたら悪いかなぁって」

「順当だろう。アカリがいなければ、フランクリンやマーガレーテが魔導機器を作ることなどできなかったのだからな」

「う~ん…」

「それにな、二人はすでに褒美を受けているぞ。フランクリンは侯爵になって、王女殿下が降嫁なされたのだ。マーガレーテも伯爵位で、王家から頼りにされっぱなしだぞ」

「忙しくなるのがご褒美かなぁ…」

「それほどまでに頼られる能力を身に着けられ、世間からも王家からも功績を認められたということだ。マーガレーテなど、楽しそうに飛び回っているぞ」

「…本人が楽しいならそれでいいか」

「さすがは女神様だと思うぞ。アカリに関わった者たちは皆、アカリへの褒美が無いと感じていたからな」

「精霊が人からご褒美もらっても、使いどころが無いよ」

「だからこそ女神様からのご褒美なのだろう」

「なるほど、そういうことか。実際、すごくうれしくて活用しまくってるし」

「なら良かったではないか。それで、今日はどうしたのだ? 顔を見せに来てくれただけでもうれしいが」

「あ、そうだった。お義母様、ちょっとだけ放して。説明のために変身するから」

「……仕方ありませんね」

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