異世界ボッチ生活開始

起きた。

昨日は夜の早いうちに寝たので、まだ夜が明けてない。

だけどだるさは取れてるし、なんか身体が軽い。

これがレベルアップ効果なのかな?

今日からレベル1のNewあかりです。


光球作ってお風呂場に行き、浴槽に溜まってる水に手を突っ込んで魔法発動。

お湯になれ~、お湯になれ~♪


しばらく魔法発動してたらいい湯加減になったので、マッパになって湯船に浸かります。


あぁぁぁぁ、気持ちいい。

だけど石鹸もタオルも何も無いから、手で擦って洗うしかない。


木製品より先に布製品が欲しいけど、布は人の住む場所に行かなきゃ手に入らない。

そこまで行くには、魔獣の住む森を抜けなきゃいけない。

そのためには、私が魔獣を倒せるようにならなきゃ。

しかも私は一文無しだから、お金を稼ぐことから始めなきゃダメ。

……布製品は遠いな。


一応浴槽の中で全身手洗いしたから、お湯を抜いてお風呂掃除。

掃除も、水使って手で撫でるだけだけどね。


続いてはお洗濯。

浴槽に少しだけ水を張り、服を入れて踏み踏み。

まっぱ洗濯幼女です。


洗濯(水洗いだけだけど)済んだので、魔法で水分を分離させてからそそくさと衣類を身に着けます。

まっぱ幼女じゃなくなったので、ほっと一息。

さて、朝食のリンゴ食べよう。


このリンゴ、こっちの世界ではこれが標準サイズなのかと思ったら、普通のリンゴはもっと小さくて酸っぱいんだって。

果樹が精霊樹化した場合、果実は大きくおいしくなるらしい。

実際、こっちに来てから毎食このリンゴだけど、全然飽きないんだよね。

今日もめちゃうまです。


リンゴ食べた後、少しだけリンゴの芯の部分を削り取って下水に流してみた。

スライムの様子を見に行ってみよう。

お風呂入ってるうちに夜が明けてたので、もう観察できるはず。


滝つぼ横のスライム討伐部屋に降り、穴をのぞき込みます。


うんうん、リンゴの芯をスライムが取り込み、消化してるのが見えました。

お前ら、ゴミ食って早く分裂しろよ~。


うわっ!!

しばらくスライム観察続けてたら、いきなり覗いてた穴にスライムが飛びかかってきた。

壁厚50cmくらいあるから大丈夫なんだけど、びっくりするじゃん! 心臓バクバクいってるよ!!


穴が小さくてスライムは入って来れないから、徐々に動悸が収まってきた。

落ち着いてきたので再度穴を覗くと、延々とスライムが穴に体当たりしてる。

しかも体当たりするスライム増えたみたいで、体当たりする間隔が短い。


……これ、ひょっとして私を襲おうとしてるの?

私がここにいるの、スライムにばれてる?

そういえばスライムに目なんか無いよね。

あいつら、どうやって私を認識してるんだ?


振動?

いや、それなら降りて来た時の方が見つかりやすいはず。

じっとのぞいてたら急に飛びかかって来たんだから、多分振動じゃない。


匂い?

この仮住居は、私が中で生活することで発生する熱を利用した、煙突効果による自然換気だ。

ベンチュリ―効果も期待して、T型の煙突も崖上に立ってる。

吸気口は、崖の一番下に位置するこの覗き穴。

実際のぞいてる時にも目に少し風を感じたから、ここから外部に匂いは漏れて無いはず。

じゃあ何で?


討伐部屋の石の床に座り込み、しばらく悩んでて気付いた。

私、覗き穴覗いてないのに、スライムの動きがぼんやり分かる。

……なにこれ?


目を閉じて意識を滝つぼの方に向けると、スライムの動きがよりはっきり分かるようになった。

ただ、岩肌にぶつかって跳ね飛ばされたスライムの位置が、途中で分からなくなる。


試しに岩のはしご(岩肌に縦にいくつも穴開けてあるだけ)を少し登ったら、登るたびにスライムの位置が分からなくなった。


……私、近くの気配が読めるみたいです。

なんかすげー!


あ、ひょっとしてこれか?

スライムも私みたいに感知エリア持ってて、その中に獲物が入ると感知して襲って来るの?


ごそごそ動き回って体勢変えたりして検証した結果、私の感知可能エリアは半径1mほどの球形みたい。

ただ一方向に集中して1mなので、球体全体を一度に感知しようとすると、かなり距離が落ちる。

あと、岩壁が障害物になると、感知精度が激減する。


最大1mかぁ…。

これじゃ背後や物陰から襲われたら、回避の余裕は無さそうだね。


ドスドス岩壁にアタックしてるスライムを放置して、居住区に戻りました。


………暇だ。

私、魔獣が狩れるようなレベルになるまでは外出禁止。

この住処には足りない物だらけだから色々作りたいんだけど、そもそも作るための材料が無い。

魔法の練習も、魔力枯渇したらへろへろになるから、寝る前にやった方がいい。


すること無くてぽけーっと明り取りの穴から外眺めてたら、フウタが来てくれた。

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