何その魔法!? めっちゃ欲しい!!

すること無くてぽけーっと明り取りの穴から外眺めてたら、フウタが来てくれた。

スライムが感知できたことや、私がスライムに感知されたことを聞いてみたら、それが個の持つ魔素干渉可能領域だそうだ。


この領域内では、魔素に干渉することができるから魔法が発現するんだって。

私がスライムを感知できたのは、自分の魔素干渉領域内にスライムが入り、スライムの魔素干渉領域で私の領域が浸食されて私の干渉できない魔素が発生したために知覚できたみたい。


そうなるとスライムも魔素干渉領域持ってるってことだから、魔獣も魔法が使えることになる。

だけど魔法の発現にはイメージと論理的な知識が必要だから、言語が話せる程度の思考力が無ければ、きちんとした魔法にはならないそうだ。


だから低位の魔獣は、身体能力が少し上がるか爪や歯での切断能力がちょっと向上する程度らしい。

吠えられる魔獣だと咆哮に威嚇効果が乗るけど、自分の魔素干渉領域内の魔素をしっかり掌握していれば無効化できるみたい。


ちなみにこの魔素干渉領域、レベルが一つ上がるたびに、体積が倍ほどに拡張される仕様。


なるほど、私が成ってるリンゴ落とせなかった理由が分かったよ。

魔素干渉領域が80cmじゃ、領域外に出たら魔法の形は維持できない。


エアカッターはすぐにただの風、ウォーターカッターは水撒きになるよね。

リンゴの精霊樹の木の枝を傷付けなくて済んだから、失敗してよかったんだけどね。


まあつまり、攻撃魔法は魔素の干渉領域内に対象を捉え、相手より多くの魔素を自分の持つ魔素(魔力)使って掌握できれば成功するわけだ。

相手の魔素干渉領域内に入れば攻撃力は減衰するけど、魔素マシマシで攻撃すれば相手に届く。


たとえ相手が同レベルでも、より多く魔素を掌握できれば有利ってことだから、魔素を掌握する能力磨かなきゃだね。


両こぶしを握ってフンスと力入れてたら、フウタから注意が来た。


「おい。なんか変な決意したように見えるが、あんまり根を詰めるなよ。見てる方は楽しく無いんだからな」

「大丈夫、ひとりの時にやるから。それに私の身を守るために頑張るんだから、うまくできたらうれしいし安全性も上がるじゃん」

「ああ、そういう方向の決意ならいいか。ところで、今日は色々持って来たから渡しとくぞ。ほれ」


そう言って、何もない空中からたくさんの物を取り出すフウタ。


「ちょっ、今の何!? どこから出て来たの!?」

「あ、そうか。渡り人だと他次元庫も知らないか。これは魔力で違う次元に倉庫みたいな空間作って、物を出し入れする魔法だ」

「すっげー!!」

「ぶはは、何だよその驚き方。目玉落ちるぞ」

「だって他の次元を倉庫にするなんて、そりゃあ誰だって驚くでしょ!?」

「多分驚くのは渡り人限定だな。この世界には次元袋なんてアイテムあるから、こっちの人間はそこまで驚かないだろうな」

「そんなのもあるんだ。でも、他の次元に空間確保して倉庫代わりにするなんて、とんでもない魔力必要になりそうじゃん」

「お、正解。かなりの魔力要るから、精霊でもなきゃ作れないだろうな」

「がーん。私じゃレベル上げても無理?」

「無理じゃないだろうけど、かなりレベル要るぞ。レベルアップは一つ上げるのに保有魔素量の倍の魔素量吸収しなきゃいけないから、結構時間かかるだろ」

「倍々で増えるの? じゃあ例えばスライム一匹倒してレベル1になったら、二匹でレベル2、四匹でレベル3、八匹でレベル4?」

「そうなるな。しかもすぐ近くに人がいると魔素が分散吸収されるから、単独で周りに第三者が居ない状態で、すぐ近くで倒してな」

「…二のべき乗か」

「なんだそれ?」

「えっと、二倍が何回あるかを数字で表すの。レベル3の人が4に上がるには、二倍が三回だから八匹必要」

「へぇ、違う世界じゃそんな考え方もあるんだ。面白いな」


頭の中で大雑把に累計計算してたら、レベル20になるのにスライムが百万匹以上必要だった。

他次元庫、レベル5くらいで何とかならない?

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