仮住居 1/2
なので滝つぼ横の岩肌内部にも住居から地中を降りられる部屋を作り、直径5cmくらいのスライム討伐用の穴を開けて、ここからスライムを間引きする予定です。
ちなみに、この住居と討伐部屋の設計は私。
場所はフウタが考えてくれました。
1DKバストイレ+討伐部屋。
でも、作ってくれるフウタに申し訳ないので、労力減らすためにかなりのコンパクト設計。
ダイニングキッチン四畳だし、寝室なんて二畳だ。
それでも岩をくり抜くんだから大変だよね。
フウタと色々話し合い、条件をすり合わせて頑張って考えました。
『人間って、工夫することに関しては生物の中で一番だな』って、フウタに感心されたよ。
でもね、レベル0(1にすらなってないらしい)の私には、穴の向こうのスライムを討伐する方法が無い。
ある程度の体格と身体能力があれば近接物理戦でもスライム倒せるらしいんだけど、今の私は五歳の幼女。
数メートル先にいる魔獣界最弱のスライムを討伐するには、最低でもレベル3は必要だって。
なので、ここで登場するのが魔素の実。
この実、魔素の含有量が半端ないらしい。
だから食べるとレベルアップできるそうなんだけど、下手に食べると一度にいくつもレベルアップしちゃって、細胞が変化に耐えきれずに壊死する危険物でもある。
そこでフウタが魔素の実を実らせてる木の精霊にお願いして、魔素含有量の違う実を十種類もらってきたの。
魔素の含有量が低い実から一個ずつ食べ、私の身体がレベルアップに耐えられる量の魔素を取り込む予定です。
こんな方法、フウタがいなかったら絶対無理。
ここまでの移動にしても洞窟住居の作成にしても、全部フウタがやってくれてる。
もうフウタには、足を向けて寝られないよね。
今もフウタは岩をガンガン削って部屋を作ってくれてるけど、私は傍で見てるだけ。
何もできない自分に、改めて自分は最弱なんだと実感したよ。
「なあ、トイレって、こんなんでいいのか?」
自分のふがいなさに打ちのめされてたら、トイレを作ってたフウタが声を掛けて来た。
私の設計では、トイレが一番作るのめんどくさい。
シンクやお風呂なんて、はっきり言って石をくり抜いただけ。
だけどトイレには便座が二か所並んでて、一つは用を足す用で、もう一つは洗浄用です。
なにせ紙も無いんだから、水で洗い流すしかできないんだよ。
洗浄用の便座は、高低差による水圧を利用して、中で20cmくらいの噴水状に水柱がアーチ作ってる。
隣の便座で用を足したら、こっちに座って冷水洗浄する仕様です。
実はそろそろ我慢の限界なので、試しに使ってみます。
…あの、フウタさん。ちょっと違う部屋に行ってくれませんかね。
フウタに移動してもらい、この世界で初トイレ。
………うん、想定通り使えたよ。
洗った後の乾燥に時間かかるけど、これは魔法がうまくなったら解決するかな。
寝室(二畳)で、ツタの繊維編み込んで作ったハンモック設置してたフウタのところに戻り、使用感報告。
「ありがとう、ちゃんと使えたよ。めんどくさい作りにしちゃってごめんね、フウタ」
「いや、それほど面倒じゃないからいいけど、人って大変なんだな。木の精霊だと本体でもトイレなんて要らないから、楽でいいぞ」
「それはちょっと羨ましいかも」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます