つばき

 靴ひも結び固くなり、休みを歩く整えひときわする。日どり三寒四温そのままなぞっている。温む風一身に、椿角までいたる十文太おもむろ立ち止まる。椿では、落ちる頭あれば、これから落下ため咲ける頭ある。それから蕾いる。あのいつか蕾でいたが、もう頭ひろげ、過度あざやか紅してしまったろうか。ざんねんなこと、十文太では見出せず、いくつとある蕾どれとて優しく色付いてく。

 やがて時が押し、篭めたもの咲かせ晒す、のち落ちる。この姿見据えれど摘み取る野暮が、むしろ花やどす本懐まで崩して、枯らすらしく嫌である。よって施せるなく、ただ無粋ながら十文太ひた目つむり合掌より切願する。

 あまり肥えず、急いて咲くな。口ひらかず慎みおごそか澄ましいろ。咲けば落花まっさかさま。醜し願かなえたまえ。

 こう合掌終え、つばき瞳にすれば、切願つまらなくなるほど、全容うつくし。落花すら趣味かもしては青々うち紅い。


をしまい

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めおと椿 外レ籤あみだ @hazurekujiamida

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