第2話 どうするべきかを考える

 他のヒロインも見かけたが、今は相田春菜ことしか頭にない俺は入学式が始まってからずっとどうやって彼女を幸せにするのかを考えている。


 1番手っ取り早いのは彼女の両親を事故で亡くさないことだと思うのだが、それはほぼ不可能に近いだろう。ゲームでも詳しい場所とかは書いていないので止めるにしても労力がとてもかかってしまう。

 他にあるとするなら、叔父に引き取って貰わないという方法だ。これは事故を止めるよりも簡単だとは思うが、やはり親戚というのは強い。

 俺の家で引き取ることができるならそうしたいが、どうすればいいのだろうか? それにただのクラスメイトの家に居候するのはおかしいだろ? 今後の方針としてはとりあえず親睦を深めるということにしますか。後のことはまた考えるとしよう。

 まぁ…問題があるとするなら前世では人付き合いとかあまりしてこなかったことだ。しかし、彼女の為ならば頑張れるはず…だよ…な。


 そんなことを考えていると既に入学式は終わっていた。なんかここまで来ると自分が変態みたいで気が引けるのだが、やると決めた以上はやり遂げる。


 そうして入学式を終えた俺達は教室に戻り、自己紹介を始めることになった。俺は淡々と自分の紹介をし終えた。


 やっぱり他のヒロイン達もしっかりといるみたいだ。それに主人公も。まぁ…俺は主人公とは仲良くする気がないので、主人公の自己紹介は聞かなかったがな。


 というか俺が主人公ではなくモブになったということは主人公にもヒロイン達と付き合う権利があるわけだ。そうなってくるとヒロイン達全員を幸せにするという目標が変わってきてしまう。

 しかし、俺は主人公と付き合うこと自体が幸せではないということを言いたいのではなく、その後のことが俺は心配なのだ。

 主人公と付き合えば誰一人として幸せのままではいられない。

 つまり俺が何を言いたいのかというと主人公がヒロイン達に出会う前に俺がヒロイン達との最初のフラグを発生させる必要があるということだ。


 これに関しては非常に難しい。相田春菜に関しては入学式前に出会えるので簡単なのだが、他のヒロイン達とのフラグに関しては場所以外全くわからない。あのエロゲーにも正確な時間描写などなかったのでここは手探りになってしまう。


 それに一番の問題点はサブヒロインにある。サブヒロインとのフラグの発生にはメインヒロインの犠牲が付き物なのだ。しかし、ここはゲームとは違う現実なのだ。会おうと思えばいつでもサブヒロイン達にも会うことができる。そこは嬉しい点でもある。


 あとはやはり俺のコミュ力次第だ。相田春菜との会話で悶えてる今の俺ではだめだ。あの可愛さになんとしてでも慣れる必要がある。


 丁度いいところで下校時間を告げるチャイムが鳴った。行動をするならここしかないと腹を括った俺はそのまま相田春菜の席へと向かって行った。


「どうしたのかな? 加賀くん? 」


 俺が向かってきていることに気づいた彼女が首を傾げて俺に問いかけてくる。首を傾げる仕草に俺は死にそうになるもなんとか耐えた。この程度で死にそうになるのはやばいとしか言いようがない。俺はこのままで本当にヒロイン達を救うことができるのだろうか? と頭によぎったが、救うための一歩がこの行動なんだと自分に言い聞かせ、彼女の問いに答えた。


「別に大した理由ではないんだけど…今一番仲良くなれそうなのが相田さんだったから」 


「ふーん…だからわざわざ私のところまで加賀くんは来たんだね。それにしてもね〜。加賀くんは仲良くしたかったんじゃないのかな? 」


 とからかうように彼女は言った。そんな彼女の態度にこんなキャラだったっけと困惑してしまった。それを見かねたのか彼女は続けて言った。


「冗談だからね。あまり真に受けないでくれると嬉しいな。あと加賀くんと仲良くしたいってのは私も思ってたところだったからね! 」


 彼女から思ってもみなかった言葉が出てきたので感動で涙が出そうになるも、俺は必死にその衝動を抑えた。これだけでも転生できてよかったと思えてしまう。


「ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいよ相田さん」


「またそうやって他人行儀に私を呼ぶ! まぁ…いいけどさ。でも、いずれは直してもらうからね! 」


「あぁ、わかったよ」


 いずれは直してもらう…か。元よりそのつもりだったが、実物を前にすると名前を呼ぶ行為すら憚れるのではないかという気分になってしまうのだ。今の俺の弱点はこれだな…。

 今後ヒロイン達を幸せにする過程でこの考え方ではいけない。気合を入れ直さなければな。


 そうして俺は相田春菜との会話を終え、無事(?)に高校の一大イベントの一つである入学式を終える事が出来たのでそのまま帰路につくのだった。






 ―――あとがき―――

 どうもにんじんさんです。

 今回は意外と早めに書き上げることができたので安心してます。前回も言ったのですが、更新が遅れてすみません。今後は多分大丈夫だと思いますので続きが出るのを待ってくださると幸いです。今後ともよろしくお願いします。

 今後も頑張りますのでもし面白いと感じたらフォローや☆、感想を書いてくれるとモチベに繋がります。

 至らぬ点などがありましたら、その報告もしてくれるとありがたいです








 










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全ヒロインが幸せになれないエロ鬱ゲー世界のモブに転生したので俺がヒロインを幸せにします ニンジン @yuito2623

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