第2話恐怖のアジフライ

私はアジフライがそこそこ好きだ。30歳まで口にする事はなかったのだが、友達があまりにも食べてみて!と、おすすめするので、2人で遊んだ時にアジフライ弁当を買ってみた。

んんっ!おいしい!!

アジフライはこんなにおいしいのか!

もともと魚がそんなに好きではなかったので敬遠していたのだ。いい歳をして食わず嫌い。

今まで食べてこなかった事を激しく後悔した。その事を友達に伝えると「でしょう?こんなにおいしいんだよ」と言われた。

2人で談笑しながら8割ほど食べ終わった時だ。


「ん"っ!ん"ん"っっ」


喉に半端ない違和感…


「ねっ!友達!喉に骨刺さったかも!!」


友達は爆笑している。


「お茶飲んだら?ごはん丸飲みしたら?」


とあれこれアドバイスをくれるのだが何をしてもだめだ。お茶も米もまるできかない。私はプチパニックだ。ピンセットで取ろうと口を大きく開けてみたのだが、居ない。アジの骨が居ない…!!

いくら探しても見つからない。でも確かに骨は刺さっている。


―あきらめた―


骨を気にしていたら友達との遊びに集中できない。


夜9時頃になっても相変わらず骨は居座ったままだ。

その日は帰宅し、家に着いても骨は取れる事がなかった。

やっと取れたのは次の日のお昼の事…

友達に一応骨が取れたと連絡するとまた爆笑していた。

アジフライの美味しさを知ったその日に、アジフライの怖さも知った。


あれから10年。


何度も食べたい日があったのに、私は恐怖で口にする事はできなかった。


しかし。


とうとうアジフライを食べると決意した日がやって来た。


―続く―


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よしこの話し ムライヨシコ @yoshikokaku3857

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