8話ドラゴニュートと理性




それでは早速、他のドラゴニュートとご対面!!


みんなで仲良くしようね!


と言うわけにはいかない。


案内されたのはB56階



組「討伐隊の仲間に入るにはまずさっき言った本能のコントロールをクリアしようね!」



オビ「分かった!」



騎士「……(つまりここが1番の最難関。

それもそうか…ドラゴンの本能を人間の理性で押さえ込んで感覚を書き換えるなんて相当きついだろうし…)」


組「まぁ!できるまでに個人差があるから。


できるまではこの階で生活してもらってクリアしたらみんなのところに行こう!



ここにもちゃんと整った生活スペースはあるから。


騎士君も一緒にいる?それとも先にみんなのところ行く?」



騎士「ここにいます。オビができるまで」


オビ「うん!」


組「うんうん、いいねぇ!じゃあ僕が今日できるのはここの案内まで。


あとは_______」


ちょうどその頃、エレベーターがこの階で止まった


組「研究長の_______治君……ってあれ???科織(かおり)君!?治君は!?」


ピンク色の髪を後ろで束ねた男は気だるそうに歩いてくると


科織「あいつなら出張中でいねぇから俺が代わりに来たんだ。

機関の長なら把握しとけ


それとも、俺じゃ不満か?お?」


組「いやいやいや!ぜんっぜん!じゃあ!科織君にあとは任せるね!結果報告書よろしく!」

と言ってそそくさと組はエレベーターに乗って帰って行った。



科織「たくっ…さて、工藤 科織(くどう かおり)だ。


組からは諸々聞いてると思うから説明は省く。



今から、そこのドラゴニュートには人間の血を目の前にして耐えることと日常では触れることのない匂いで血の匂いを上書きをしてもらう。


そこの人間…騎士だったか?

は危ないから離れてろ。」


騎士「は、はい」


騎士は言われて少し遠のく



科織「オビ?はハーネスとこの口枷をしろ」


と丈夫そうなハーネスもつい先ほど興奮状態になった時に牙に嵌められた口枷を

手渡した



オビ「えー。オビ、これ嫌だ」


科織「お前が人を襲いたいならしなくていい」


オビ「む!」


科織の言葉にムッとして反抗心でサッサっとつけるオビ



その後、ハーネスは壁に埋め込まれたリードに繋がれた。


そして目の前には



小さなガラスの器が二つ


片方には可愛らしい色の液体を垂らした。


科織「これはここで特別調合された香水だ。

世界にたった一つしかない。これを覚えて

血で興奮する本能を香水と理性で書き換える。」


オビ「いーにおい!オビ!これ好き!」


とはしゃぐ



科織「そりゃあよかった。今から出すのは血だ必死でドラゴンの本能を抑え込め。」


と今度は輸血パックを取り出して

封を開けた。


人間の血が香水とは逆のガラスの器に注がれる。




科織「(初期訓練の場合この時点で興奮状態で凶暴化するんだが…)………………!!!!」



オビ「????」


科織は目を見開いた。


普通、初めて訓練を受けるドラゴニュートは本能を抑えられずリードがちぎれそうなほど暴れて終わるのだ。



そこから何回も訓練を繰り返しコントロールするのだがテールは不思議そうな顔をしてぴくりとも動かない。


騎士「……どう言うことだ。」

あまりにもおとなしいオビを見て騎士もそうつぶやく



先ほど自身が血を出した時はドラゴンそのもののように獰猛だったのに?



科織「すでにコントロールできている??いやそれはない…なぜ反応しない?」

科織は素直な疑問をぶつけた。


オビ「?だって騎士のと匂いが違うんだもん」

とオビは答えた。



科織「!!!血の種類の判別ができるのか!?」

と科織が驚いたように声を上げた。



オビ「?わかんないけどでも騎士のとは違うのはわかる!」



科織「……少し待ってろ。少し席を外す」




そう言ってどこかに連絡をしながらその場を後にする科織


___________________________________


しばらくして



組「もー!僕忙しいのに呼び出しってなぁに!」


と組が戻ってきた


科織「知るか。さっき事情は連絡したろ。」

科織はいくつかのさらに血を入れた器の前にいた


組「あー、血の種類が分かるとかなんとか?本当?」



科織「五分五分」


組「なんで?」


科織「血の種類が分かるわけじゃない。

そこの騎士って奴の血と他の血だけ見分けがつくらしい」


組が来る間にいろんな人間の血を並べてみたが依然として興奮状態にならないオビ


そして並べられた血はみんな同じように感じるがやはり騎士の血だけは違うらしい


組「なにそれ、そんなことありえるの?」


科織「……普通ならあり得ないが…おい、騎士、お前指から血だせ


組「ちょいちょいちょい!!そんないきなりなんて事いうの!!」


騎士「いいですよ」



組「え!?いいの!?」

と騎士の言葉に組は驚いた。




そして騎士は自身の指を軽く噛むとそこからは血が滲む


すると

オビ「ガウウウウウウ!グルルルルル」

と瞬く間に凶暴化してはジタバタと暴れる



騎士「!!!」


組「まじか…!」

三人は唖然とする。






_______________


止血をして血の匂いが漏れないように包帯を巻くと。

オビは落ち着きを取り戻してそのまで


眠りだした。




科織「………お前このドラゴニュートになんかしたか?」

と科織はその様子をずっとみていた騎士に問いかける



騎士「いえ……あっ!」


心当たりはないと答えようとしたが思い当たる節が一つだけあった


科織「…なんだ?あるのか?ないのか?」


騎士「実は俺、卵が羽化する前日にまだ擬態状態の卵につまずて転んで…その時に結構出血して…卵についてたかも….」


と言う騎士の言葉に


組と科織の二人は顔を見合わせた。


組「研究隊の意見は?」


科織「…まだ、他のドラゴニュートの卵で実験してみないとこうとは言えないが予測ならできる。



おそらく、騎士の血を卵が外側から吸収して

中のドラゴニュートがその味を覚えたんだ。


人間の胎児が臍の都から母親が食ったもののを味がわかるように…



生まれる前よりも卵の中にいる時の方が感覚がドラゴンに近いから敏感だし


そしてこれはあくまで憶測だが

卵の中で覚えた味は生まれた後に喰らうものよりも新鮮で旨みもさぞ感じたんだろうよ。


いわば特別な味なんだ。

他の血と区別がつくレベルで」



組「つまり。なに?オビは騎士の血の旨みや匂いだけを覚えちゃってて


それが興奮材料に昇華されて他の血との区別も尽くようになっちゃったの??」


騎士「………」




科織「おそらくだぞ…おそらく…ドラゴンの卵は栄養は満たされているが

水分補給のために殻についた少しの空気中の水分でも吸収するし。


ひとまず治に相談して他の卵で研究してみるけど。


こいつはひとまずこの状態を維持でいいだろ?

特定の一人の血にしか反応しないなら香水で上書きする必要性はない。


何よりこの感覚は研究対象だ。

もし仮説が立証されれば卵に人間以外の旨みを覚えさせて人間の血肉で興奮するのを上書きするための訓練はなくせる。


ドラゴンにも効けば人を襲わないドラゴンにできるかもしれない」


と科織は言った。


組「うーん。でもそうなると騎士君が危険じゃない?

オビは〜まぁ、辛いこの上書き訓練しなくて済むのはいい事だろうけど」


騎士「!俺、できる限り怪我しないようにします。


ドラゴンやドラゴニュートと共存できるようになるなら!

オビが少しでも楽になるなら!」


騎士はそう言った。


組「んーー、分かった!ただし君が怪我した時ようにオビようのハーネスと口枷は常に持っておく事!」


と組は念押しした



_______________



組「さて、これからのことなんだけど

騎士君の血にだけ反応して他の人間の血には反応しないから


ひとまずコントロールできるといことで討伐隊に入ってもらう。




ただし、このことはここにいる君たちと

後々研究に関わる研究隊だけの秘密

その他の機関隊員やドラゴニュートにも話したらダメだからね!」



科織「機関内でも秘密にするのか」



組「もちろん。

研究隊の君たちにとって卵のうちから

本能のコントロールをできるかもしれないという事実は今後人間とドラゴンの共存が許されるかもしれないという希望だけど



裏を返せば

それを使ってドラゴニュートやドラゴンを操って悪用できるようにもなるということさ。


だから情報の共有は必要最小限に漏洩はできる限り防ぐべきだ」










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ドラゴニュートガール 鴉メルヘン @CaramelA

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