転生したら〇〇でした乙
ゾンビカワウソ
第1話 カエルでした。
転生したら…カエルでした。
集合体恐怖症には耐えられないほどの卵の軍団。その中から、俺は生まれた。
最初は自分が誰なのか、何なのかも分からなかった。ただ、おたまじゃくしとして水の中を泳ぎ回る日々。
ある日、無性に陸地に上がりたくなった。そして、地上に這い上がり水面に自分の姿を映すと、そこにはカエルがいた。
小学生の頃、道端で捕まえていたあのアマガエルだ。
しかし…転生したのなら、何か特別な力があるのではないか?
某スライムや某魔法使いのような展開を期待し、口から何かを出そうと試してみた。
結果、伸びるのは舌だけだった。
(おい、天の声的な奴!いるんだろ?せめて俺の能力を教えてくれ!)
そう念じた瞬間、頭の中に情報が流れ込んできた。
【能力:体色変化 淡黄色から暗褐色まで変化可能】
(……それだけ?これでどうしろと?)
ガッカリした俺は、この世界について調べることにした。
水面に潜り、水中を進む。だが視界が悪く、どこを進んでいるのかも分からない。
しばらくすると、ゴツンと頭をぶつけた。どうやら岸に着いたらしい。
水中から飛び出し、周囲を見渡す。
そのとき、目の前に赤く光る二つの点が見えた。
それは美しかった。つい見惚れてしまったが、次第にその点は大きくなっていく。
蛇だ。
俺が小さいせいか、それとも相手が巨大なのか…。
ともかく、蛇はカエルの天敵。視線が合った瞬間、体が硬直した。
動いたらやられる。本能がそう警告している。
(まだだ…タイミングを見て、後ろの水中に戻るしかない。)
…そういえば、俺はなんで死んだんだっけ?
ああ、そうだ。人生に嫌気が差してビルから飛び降りたんだった。
あっさり命を投げ出したのに、今はカエルとして生きようともがいている。
自分の矛盾がなんだか可笑しくなってきた。
蛇がシュルシュルと舌を動かしている。静止したまま、俺は隙を伺う。
(逃げるか…いや、この第二の命を無駄にはできない。今度は挑戦してみよう。)
意を決し、蛇の顔の左側を目がけて飛び出した。
正解だった。蛇が振り向く前に草むらに飛び込み、身を隠す。
草の隙間から確認すると、蛇は逆方向に逃げていった。
(危なかった…。でも、こんなカエルでも転生したのだから、何かできるはずだ。)
そう思った瞬間、またもや草がガサガサと動いた。
今度は猫だった。
目が合った次の瞬間、俺は反射的に前方に跳ねた。
しかし、一瞬の隙をついて猫の前足が俺を叩きつける。
ぐはっ……!
俺の第二の命はここで終わった。
The End
転生したら〇〇でした乙 ゾンビカワウソ @SACD28
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