学校前で起きた事故・事件?



 学校はいつもと同じ、ではなかった。実際は学校の周りが騒がしい。



「何かあったのかな?」



 俺とサエは人だかりの後ろにつく。



 前にはパトカーが止まっている。



 野次馬は近所に住む人と、ほとんどが高校関係者ばかりだった。なぜか今来た高校の学生たちは門の中に入れないでいる。教師たちが入れていないのだ。



「まだ遅刻には時間あるのに」



「あ、クラスの子だ! おはよう!」



 サエは先にいたクラスメートの女子に声をかけた。



「電柱と大型のトラックが倒れたんだって! 電柱が校庭の中にちょっと入っちゃったから、今来た学生は入れないんだって」



「何それ⁉」



 確かに電柱は倒れ、電線はダランと垂れていて危ない。



 トラックは割と大きめの車種、それが倒れたなんて…。車体の横側が大きく凹んで

いる。トラックの荷室の天井部分も凹んでいた。



 見た限り、聞いた限り、事故に遭った車はあの一台のみ。



 いったい何があったのだろうか。



「すごい事故だな」



 けが人が誰もいなかったのが不幸中の幸いだった。








 するとゾロゾロと門の中から学生が出てきた。



 電柱が倒れたことで学校は停電状態、授業が難しいこと、安全を考慮して突然休校になった。



 休校が伝えられた時は学生側から歓声が上がっていた。



「カラオケ行こうぜ!」



 そんな声も聞こえた。



 こんなことないからテンションも高まっていたんだと思う。



 俺もちょっと嬉しかった。



「ユーちゃんどうする? 帰る?」



 サエが何かワクワクした顔で言ってくる。



「んー、どっか行く?」



「私、見たい映画があるんだよねぇ」



 サエは体を横に振りながら言ってくる。



「じゃあ行きましょうか」



「一回家に帰って着替えてからね!」



 俺たちは来た道を戻っていく。





「こんな時間に家帰るなんて変な感じ」



「だねぇ! 電車も空いてるんだね」



 乗客はほとんどおらず席も座り放題だ。



 いつも朝は満員だ、それが数十分後になるとほとんど人がいなくなるのか。



 信じられないくらいゆったりとした時間が流れている。



「いつもこのくらい空いてればストレスないのにな~」



 サエはニコニコしながら席に座る。



「ほらユーちゃんも」



 自分の隣をポンポンと叩くサエ。



 俺はその席に座った。



 家の最寄りまでは二駅のみ、それでもストレスがかかっているのか。



「電車に乗るのが嫌で朝行きたくないとかあるもんな」



 満員電車はとにかくブルーになるので苦手だ。眠い朝の人込みぎゅうぎゅうは体にこたえる。本当に近くの高校に通えて良かったと思ってる。



 空いている電車に乗っているときと満員電車に乗っているときとでは心の穏やかさが違う。



 逆に満員電車の中にいると気分が優れない。



 確か、バッタも多すぎる群れにいると凶暴化するのがいるんだっけ



 いつも穏やかでありたいな。



 そんなことを最寄り駅までの二駅間で考えていた。

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