圧の力

寒い冬にする話



 溶岩の怪物との戦いから少し経った。



 放火魔も捕まったことで世間は落ち着きを取り戻した。



 あれ以来あんな怪物人間に会うことはなかった。



 しかしドラト共に少しばかり手帳を埋めるかとができた。



 ドラトが「それの気配」を感じ取り、俺に教えてくる。



 そして俺たちはその場所へ向かい、指輪を使ってそれらを回収していく。



 最初こそ薬指からそれらが伝わってくる刺激に体が驚いていたが、次第にそれも小さくなってきていた。



 今回も見事手帳に回収が完了した。



 さっそく中を見てみる。



「今回のは…なんだこれ? 石ころか?」



 この間の溶岩の怪物のような派手なものではなさそうだ。



 その他に集めたものも、どれもよくわからない能力ばかりだった。



 俺の想像以上にこの活動をすることは多いが、ドラトの予想以上に少ないらしい。



 ドラトはそれに関して少し不満そうではあった。



しかし、

「優作君、お疲れ様」



「はいはい、どうも」



 ドラトは俺がしっかりと手伝うこと、手帳にしっかりと捕まえることに対しては満足げだった。



 最近発見したが、ドラトは嬉しい時は動きがかわいくなる気がする。目を大きく開いたり、羽をパタパタと大きく動かしたり。



 いつも冷静な物言いだが、犬みたいに感情を体で表す姿は愛らしい。



 こんなことなら協力しても悪くないと俺は思い始めていた。





 すっかり寒くなった。



 外に出るのに防寒具は必須だ。マフラーに手袋、下着も寒さ対策がしっかりしたものを身に着けている。



 朝、吐く息は白い。



「もう年末だね~」

 そう話すサエの口からも白い息が出ている。



「今年はいろいろあったなぁ」



 年末になるとどうもこういう会話がしたくなる。一年を振り返りたくなるからだろうか。



 そして何気に振り返りの会話が楽しくて好きだったりもする。



 今年の初めはまだ中学生だったことに驚く。



「新年の時はまだ高校入試前だったんだよなぁ」



 たった何カ月前、それなのにもう遠い昔のような気がする。



(超生物のドラトとの出会いも今年、というか…、つい最近なんだよな)



 ドラトと会ってからは不思議なことが起こり始めているのも時が早く経ったと感じる要因であることは間違いない。



 サエも一年前の今頃を思い出しているようだった。



「そうだね、去年の今頃はいろいろドキドキしてたね! 偏差値のこととか」



「模試の結果に一回一回一喜一憂してたなぁ」



 模試の結果が悪いと落ち込んで、良いと浮かれて勉強が手につかなかったりと苦労したもんだ。



 俺は勉強に関して大切な所で詰めが甘いところがあるようだ。

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