ドラトの目的
部屋に帰ると、ポンと姿を現したのはドラト。
「さて、色々知りたいことあるでしょ、優作くん」
淡々と聞いてくるドラト。
「山ほどあるわ!」
そんなドラトとは対照的に熱くなっている俺。
「そうだろう、そうだろう」
ウンウンとドラトは頷く。
「あの〜まず、ん〜」
何から聞けばいいのか、実際わからない。見かねたのかドラトが先に口火を切った。
「前に君と初めてあった時、大体の目的は達成した、と言ったのは覚えてる?」
「うん」
「あの時、私の七割ほどが達成されてたんだ」
「残りの三割は?」
「うん、それが問題なんだ。私はあるものを集めなければならないんだ」
「あるもの?」
「それは君の今持っている手帳にあったものたちを戻さないといけないんだ」
俺は咄嗟に手帳の中のイラストを見た。
「じゃあ、元はこの手帳にはギッシリと絵が描かれていたの?」
「そうだね。バラバラになったんだ」
「なんでそんなことが起きたのさ?」
「まぁ、それはおいおい話すよ」
「またお得意の秘密主義かい!」
思いっきり脱力してしまった。
「まだ君にそこまで話しても理解ができないだろうってことさ」
ドラトは短い指を一本ピンと立てた。
「彼らはこの世界に来るまでにバラバラに散ってしまった、ズバリ君にこの散り散りになったもの達を集めるよう手伝って欲しい!」
ドラトは目をクリッとさせた。
ここまでの出来事は今までの俺の生活では考えられなかったことが俺の目の前で次々とさも当たり前のように起こった。指輪と手帳、それも不思議な力を持つ手帳だ。恐らくここから先も俺の想像を超える出来事が突然訪れるのだろう。
「でも世界中に散った全てを回収するなんて、無理だよ」
「その辺は大丈夫。全てを回収できるなんて思ってないし。世界の果てまで行こう、なんて言わないさ」
ドラトは俺の机に乗って、俺と向き合い、ズイっと胸?(体全部?)を張った、まるで「いいよね?」と言ってる気がして、
「わかったよ、できる範囲内で協力しますよ」
と伝えた。
ドラトは満足そうに頷いた。
「でもさ、そんなに簡単に見つかるの?」
「あぁ、その点については。ソレが近づけば私が感じ取れるし…多分」
ドラトが少し間を空けた。
「ん? どうかしたの?」
「…いや、なんでもないさ」
「あっそう、じゃあ教えてくれるわけね、見つけたら」
「うん」
ドラトが消えた後、俺は手帳のページをペラペラとめくった。
「この目玉のヤツの他にあと、何体かだけなのか…、こりゃ大変だなぁ〜あ」
ベッドに体を投げる。
「ホント…、ファンタジーにありそうな展開だわ」
しかし、俺はまだこの時、事情をかなり楽観的にしか考えていなかった。
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