探し物はアレですね



グータッチするように指輪とイラストを合わせた、すると…



「おぉ!」



指輪の石が控えめに光り、そこのページももそれに同調するように白く輝き始めた。



「ドラト?何が起こってんの?」



「左手を前に突き出し、呪文を唱えるんだ」



「えっと、左手。で、呪文?これかな」



ページにある一文を読んでみる。





『世界を見渡し、我が眼となれ!』




指輪から青い光が漏れ、俺の部屋を包んだ。



「うわ! まぶし!」



「成功だよ、優作くん」



「え?」



…と部屋に大きな目玉が出現していた。



「目?」



「そう、これは目なんだ。これは持ち主の望むものを探すことができるんだよ」



「へぇー」



「あるでしょ?探すものが」



「…あったっけ?」



「ほらお母さんが探してたでしょ。」



「あ!イヤリング!」



「うん、命令するんだ、これに。」



その「目」に半信半疑でその旨を伝えてみる。



「はぁ、じゃ、お母さんのイヤリングを探して。」



目がクワッと見開かれ、くるくるとその辺を回り始めた。



「…探してるのかな?」



そしてその目がキラリと光った。



「え?」



左目が疼いた。咄嗟に目を瞑る。



「これは…」



不思議だ、目をつむっても何か景色が見える。



「今君の左目の役割をこの目の前のコレが担っているんだ」



「見える、薄暗いけど」



「今君の左目はそのイヤリングのありかを示しているんだ」



「…これは、洗面所か」



左目からの情報は写真のようで、少しずつ現像されていくようであった。



「この感じだと洗濯機と洗面台の間かな。緑の宝石のついたやつかな」



「じゃあ、見つけてみよう。実際に」



「えー、ホントにあんのかなぁ」



「いいから、いいから」



ドラトの言うこと、今俺自身に起きていることに半信半疑になりながらも洗面所へ行ってみる。






果たして、

「…あるのかい…」



なんと俺が見たとおりにイヤリングはそこにあった。



「ドラト…どうなってるの?」



ドラトは目を丸くした。

「また驚いたかい?」



「何が…何が…」



俺はこの状況に恐怖すら感じた。、しかしドラトは、

「まぁ、まずそのイヤリング持ってってあげなよ。」

とあくまでいつもの調子で言った。




「はいはい」



俺はお母さんにイヤリングを持っていった。



「お母さん、探してたイヤリングってコレ?」



手のひらに乗せて見せた。



「ん?あぁ!そうそう、これこれ」

お母さんは自分の手に取り、嬉しそうな顔をした。



「あー、あって良かった!でもこれどこにあったの?」



「えっとね、洗面台と洗濯機の間」



「よくそんなところに目をつけたわね!」



お母さんはキリッとした顔をした。



「そ、それはあれだよ…」



今起きたことを言おうにも信じてくれるわけはない(第一ドラトが嫌がるな)。




「手を洗いに行った時にふと思ってさ、探してみたら偶然みつけたの」



ふむふむとお母さんは頷いて、



「あぁでもサンキューサンキュー」



フフンとお母さんは鼻歌を歌い出した。



やっぱり失くしたの気になってたんだ。見つかって良かった。俺は上機嫌な姿を見て少しホッとした。

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