お昼は屋上で



  今日は午前に国語、数学、地学、英語の授業があった。みんなテスト前というだけあり、緊張感を持って臨んでいた。




 いつもの授業風景であったが、地学の授業中に地震があった。大して大きくなく、すぐに授業は再開されたが、先生が地震についての豆知識を教えてくれたので少し得をした。






 昼休みのこと、普段は弁当を持参して教室で食べるが、毎週水曜はパンを買い、サエと食べることになっている。丁度サエが教室に来た。



「ユーちゃん、パン買いに行くでしょ?」



「あぁ」



 食堂は一階に位置しているが、パンは四階でも買うことができる。少々並んだが、買うことはできた。




「いつもの焼きそばパンね」



「そっ! 美味しいんだよ。サアは弁当か」



「うん、いつも通りね。今日は天気も良いし、屋上にしない?」



「あぁ、うん。そうするか」




  俺たちは階段を上がり、少し頑丈なドアを開ける。そこには屋上と繋がっている。屋上は栽培委員が屋上菜園をしていて数種類の野菜が育てられている。屋上全体は鳥から野菜を守るためにネットで覆われている。ネットのおかげで安全性が高いため、全生徒にも開放されている。




「あー、今日は良い天気だなー。風が気持ちいいなー。」



「夏の暑さもなくなったからねー」



「勉強したからお腹空いたんだよ。さーて、さて食べよう!」



「で、どうだったの? 授業は」



  サエが弁当箱を開けながら聞いてくる。



「んー、普通?」



「普通って。大丈夫かなー? そんなんで。」



「今日の地震で先生から地学の豆知識も得られたし、地学は平均越えまで一歩リードだな」



そう言って焼きそばパンを頬張る。



 口いっぱいに焼きそばのソースと紅生姜の味が広がる。



 人には言えないが、齧った後の焼きそばパンの断面が何故か好きだ。




「何それ? 私にも教えてよ」



「内緒」



「えー、フェアじゃないぞ、それは。競争は平等じゃないと」



「いいじゃない。俺の方が成績悪いし。ハンデだよ。ハ、ン、デ!」



「なんかヤな感じー」



  サアはほおを少し膨らませる。




「でも、ところで大丈夫なの? 一週間後にテストで、テスト終わった後すぐに大会でしょ?」



「まぁうちの学校そんなに強くないし。でも、観に来てくれるでしょ?」



「あぁ、行くよ。会場も近くだし、暇だし」



うん、と言うとサエも嬉しそうに弁当を頬張る。



  心なしかその日はいつも以上に表情が明るい気がした。



俺は天を少し見上げた。



「 …天気がいいからかな?」

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