クラスの朝
俺たちは無事に校門に着いた。
「そういえばさ、どうなの、勉強は? テスト近づいてるけど。」
「そりゃ頑張ってますよ! いっつも平均点ぐらいだからね、今回は順位で百番以内になる。」
そう、俺は特にこれといって才能がなく、普通の平均的な人間なのだ。
いや平均なのかはわからない、そう思って安心したいだけなのかもしれない。
この高校では勉強も二百人の学生中大抵百番くらいの成績である。運動も可もなく不可もなくといった感じで、そんなに好きではない。性格も人見知りで内弁慶でサエほど自分を出して話せる同級生はいない。基本的に自分の世界にこもっている方が好きだ。
勉強は嫌いではなく、いつも良い成績を取ろうと頑張っているけど、なかなか結果は追いついてこない。
「今回はどれくらい取れるかなー?」
サエはいつもこのように俺をからかってくる。
ちなみにサエのほうが成績はよく、彼女は五十位以内くらいの成績である。それに俺と違って部活も持っている。
「追いつきてーよー。早く」
そんな話をしながら学校の校門をくぐり、昇降口で靴を履き替えて階段を昇る。俺たちの教室は四階にある。俺たちは別々のクラスで俺は一年二組でサエが一年三組の隣のクラスである。
「じゃあまたね、勉強頑張ってね、ユーちゃん!」
「はいはい。あなたもね」
サエに皮肉っぽく言われながら教室のドアを開ける。そこにもいつも通りの日常がある。
「おはよう!」
「おはよう」
自分の席に着く。
「なぁ、フジ。昨日のあのバラエティー観た? チョー面白くてさ〜」
「昨日のは、観てないな」
「そっか〜。残念だなー」
クラスメート達はみんな俺に優しくしてくれ、とても有り難い。
正直言って、俺の見た目はお世辞にも人当たりが良さそうには見えない。目は二重で綺麗な弧を描いてはいるものの、切れ長でつり目なせいで鋭い目つきになっている。それに背も高めで肩幅が広い。そのため第一印象はガキ大将の悪ガキで、幼い頃から変なイメージを持たれてきた。
はっきりいって自分の内面もしかり、自分の外見もそんなに好きではない。
「あぁー、そろそろテスト期間だから本腰入れて勉強しないと成績に響くからなぁ」
やはりここでもテストの話は出てきた。ちなみに彼らは俺とは違って、人当たりの良さそうな顔立ち、外交的な性格で人見知りもせず、誰にでも冗談を言って笑わせたりして、積極的にクラスを引っ張っていく中心人物である。特に三人、但馬(たじま)、平井(ひらい)、遠山(とおやま)は俺に話しかけてくれる事が多い。
しかし、彼らの存在により、自分がいかに劣っているかを実感させられたりもする。
(「優れている」って字が入っているのに何も秀でてないよなぁ)
俺は昔からこの事を胸に秘めて日々過ごしてきている。
その日もなんとなく男子の会話に入っていると、チャイムがなり担任の先生が教室
に入ってきて、朝の雑談は終わった。
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