匿名短文カツラバレ企画 19〜27感想
この感想は、南雲 皋さん主催の
【匿名短文カツラバレ企画】
https://kakuyomu.jp/works/16818093080437113456
01〜09までの作品への感想となります。
(注意)
この感想はあくまでワシ個人の意見です。
作者さまの意図と違う感想を書いていても、
「あ、そうなんだー」
と流していただければ幸いです。
では、以下感想です。
19:かっこいいパパと娘
バレ方:愛娘の愛情バレ
髪以外は完全無欠と思っているお父さんが主人公ですね。
愛娘の授業参加に来た主人公。
授業では、みんなが書いた作文が披露されるようで。
愛娘の作文の出だしは、パパはとてもかっこいい。
お父さん泣きますよ、こんなの。
娘がパパを好きでいてくれる期間の短さを考えると、一生の宝といっても過言ではないくらい。
そこから、家庭でのパパの様子が語られます。
本当に良いお父さんのよう。
しかし、娘は知っていました。
パパの頭皮のご様子を。
それをカムフラージュしている、ということも。
きっと教室内は、後ろに並ぶ父母をチラ見しながらのヒソヒソ話が充満したことでしょう。
しかし逆に考えれば、これは娘の優しさ。
そして娘の愛情です。
ハゲでもズル剥けでもツンツルリンでも、娘にとってのパパはカッコいいのです。
だからパパ、気にしなくたっていいんだよ。
そう言って笑う娘さんの顔が、夕焼けに浮かびそうです。
20:行旅死亡人情報データベース
バレ方:ポロリバレ
女の子の独白のような形で始まる物語。
知らないおっさんと暮らしていたとは、なかなか衝撃的。
しかしおっさんは紳士のよう。
そして、おっさんの髪は抜けない。
たまに抜けたら窓から風に乗せて飛ばす。
この行動の謎はラストで解けます。
ある日、おっさんの髪がぽろっと取れてしまった。
はいカツラバレポイントです。
その落ちた髪を、おっさんは泣きながら頭に戻そうとします。
そしておっさんが最期を迎える直前、主人公はおっさんの秘密を伝えられます。
おっさんは、宇宙人。
カツラは、おっさんの星との通信端末。
だからあんまり抜け毛はなくて、数少ない抜け毛も風に飛ばして故郷の星に届けと願っていたのかも知れません。
淡々と方言で語られる独白に、すこしポロリとしてしまう。
そんなお話でした。
21:たったひとつの冴えた髪型
バレ方:スペースオペラバレ
20作品目と繋がっているのかと錯覚してしまう書き出しです。
遭難した宇宙船の中で、アフロマンとその後輩はゲームをしています。
宇宙の、知らない惑星で遭難。
通信や救難信号などはもう試した後のようで、なす術はほぼ皆無。
ゆっくり死を待つだけの時間が宇宙船に充満しているのでしょう。
しかし、ゲームはあらかたやり尽くした二人。
残るゲームから麻雀をしようということに。
賭けるものは、生き残る権利。
たったひとつしかない、冷凍睡眠装置に入る権利です。
ここでアフロマン先輩は脱衣麻雀を提案。
どうやら先輩は地球の文化に詳しいようです。
最後の食事から三日、もう生命の危機を感じる頃。
アフロ先輩は麻雀で負けてしまいます。
先輩は、すっぽんぽんなのでしょう。
しかし先輩は麻雀を知っていたはず。
しかし勝負は勝負と、先輩は後輩を冷凍睡眠装置に入れます。
そして、別れの握手。
後輩に握られた先輩の手に、痛みが走ります。
睡眠薬です。
先輩はワザと負けたということに、後輩は気づいていたのです。
後輩は先輩を冷凍睡眠装置に寝かせて装置を閉じようとした時。
カツラバレポイントです。
先輩のアフロは、ズラでした。
文字通り一糸纏わぬ姿で眠る先輩に、後輩は別れを告げるのでした。
良い話です。願わくば後輩くんも生き延びて、前作品のおっさんとして天寿をまっとうすることを祈らずにはいられません。
22:駅のおじさん
バレ方:おじさんの優しさバレ
カツラバレという命題なだけに、おじさん登場率が高いwww
さて、今作もおじさんが登場します。
しかも女子高生に何でも買ってあげるおじさん。
それを調査することになったアオイは、どうやらセーラー服を着てみたかった様子。
ここで違和感が。しかし、よい違和感です。その答えはラストに。
最初は、気の弱い女の子にギャルメイクをしているように読んだのですよ。
しかし、違いました。
作者さんのミスリード、ワシには成功です。
いいだけ物を買ってもらって、それでおじさんとはバイバイ。
どうやら当初思ったおじさん像とは違う様子。
そしてトイレに駆け込んだアオイさんの背後に、おじさん。
やはり変の態だったかと安心(おい)していたら。
おじさんにはアオイがカツラだとバレていた模様。
しかもアオイが男の子ということもバレていて。
そして語られる真実、のような噂。
おじさん……いい人やったんや。
事故で亡くした娘さんへの罪滅ぼしやったんや。
ラストでひっくり返す、見事なラストでした。
23:宮脇 豊にとって一番大切な……
バレ方:かえりみバレ
職場絡みの飲み会ほど面倒で実りがない集まりはない、のかもしれません。
なんなら残業扱いにしてほしいと願った回数も数え切れせん。
それはさておき。
飲み会明けの午前中からのヒーローショー。
悩ましい問題です。
しかしそんな主人公宮脇氏の目の前に、突然その知的生命体は現れます。
シルバーグレイ、宇宙人です。
他の何作かにも宇宙人や宇宙の描写がありましたが、親和性が高いのでしょうか。
宇宙人は、宮脇氏のいちばん大切なものを失わせると宣言します。
宮脇氏は考えます。
ヒーローショーに行きたいと言った息子か?
それとも妻か?
あるいは、自分自身か。
宮脇氏は後悔を抱えつつ覚悟を決めます。
しかし失ったのは、カツラでした。
そこで宮脇氏は気づきます。
大切なものと問われて、真っ先に浮かんだのは、家族だと。
いいお話でしたね。
カツラがキーアイテムとして非常に良い働きをしていました。
24:一髪千鈞☆カツラーマン
バレ方:哀愁のヒーローバレ
もうタイトルがwww
途中の星が意味深に感じますw
物語は258万円のカツラバレから始まりますw
新婚旅行に向かう機内のカズとヒロコ。
その幸せたっぷりな機内に現れるハイジャック犯。
そして響く銃声。
しかしカズは立ち上がります。
機内の乗客を、何より愛するヒロコを守るために。
てかカツラは自分で取り替えるんですねw
5000ルクスの光を放ち、スーパーサイヤ人のようなカツラに換装し(妄想)、カズはカツラーマンとしてハイジャック犯に立ち向かうのです。
カツラーマンは強かった。
銃弾をカツラで弾き、5000ルクスのつるっぱげで太陽拳。
あと髪の四字熟語に詳し過ぎw
そしてカズは再び別のカツラを装着。
手荷物に何種類ものカツラが入っていたらヒロコも気づくだろうという雑念はブン投げて。
そして事件は無事解決。
しかし、最後にヒロコの非情なひと言。
「ハゲだけはダメなの」
ああああああああああああああああああああああああ!
哀しきヒーロー、カツラーマン。
今は涙雨でも、明日は輝く太陽が!
がんばれカツラーマン!
まけるなカツラーマン!
……あー、面白かったw
25:愛しのあなたの髪の下
バレ方:相打ちバレ
異世界恋愛の定番のようなセリフから始まった物語。
このセリフを主人公に言ったのは、20才にして大臣候補という、ヴァレンシュタイン伯爵。
しかしこの縁談、政略結婚のよう。
そして主人公側の男爵家が求めるものは。
「あなたの頭です」
はいこの時点で誰がカツラか、みなさまの頭にも浮かんだことでしょう。
そこからの主人公の言葉は、じわじわとヴァレンシュタイン伯爵の心をいたぶり続けます。
そしてヴァレンシュタイン伯爵は、自首します。
銀髪を引っぺがすと、またしても太陽拳。
ちなみにホタルが先祖ではないそうです。
ホタルが光るのはおしりですもんねw
そして主人公も髪に手をかけてカツラを取りました。
その下には、ドリルです。
縦ロールというか、たぶん掘削機械ですね。
斯くして互いにセルフカツラバレを乗り越えた二人は、お友達から始めることになりました、とさ。
……上手くまとまったのでしょうかw
どうしても、伯爵のハゲ照明の下で掘削工事をする縦ロールドリルが頭に浮かんでしまう作品でした。
26:きみはかわいい
バレ方:開口一番スタートダッシュバレ
この作品を読み終えたとき、なんだか星新一さんのショートショートを読んだような感覚になりました。
まあそれはさておき。
主人公は黒輪空快。結婚を考えているようです。
お相手は樺沢日奈。黒輪いわく美人。
お見合いから始まった二人は順調に仲を深めている最中。
しかし樺沢さんの質問から、少しずつヒミツが露わになっていきます。
しかし空快を「くうかい」と読むとは。
この時点でオチが見えてきたのですが、のちにあっさり覆されますw
どうやら樺沢さんは坊主頭の男性が好みのようです。
悟空よりもクリリン、ベジータよりもナッパなのですね。
坊主頭が好きな樺沢さんは、黒輪のカツラも見抜きます。
観念した黒輪は、カツラを外します。
その姿を見た樺沢さんは、うっとり顔。
そして物語はラストを迎えます。
樺沢さんの綺麗なロングヘアーは、なんとカツラでした。
そしてラストのセリフ。
「私は坊主が好きなんです」
ここで想像してみました。
居酒屋で向かい合う男と女。
テーブルには二人分の、ワインとカツラ。
とてもシュールな気分になりました。
27:子爵令嬢のカツラをうっかり暴いてしまった俺が、彼女を幸せにする話
バレ方:うっかり幸せの前兆バレ
さて、カツラバレ企画の最後を飾る作品です。
ファンタジーですね。
騎士である主人公は、夜会で暴漢に襲われている令嬢を助けます。
その令嬢が、カツラでした。
髪は女の命、などという言葉もありますから、カツラがバレた令嬢のショックは計り知れません。
主人公も、まさか人助けがカツラバレに繋がるとは、思いもしなかったでしょう。
後日、主人公は令嬢の邸宅に呼び出されます。
令嬢は子爵家の娘さんでした。
子爵令嬢のルルは病弱で、毛がないのは投薬のせい。
子爵たちは命の恩人の主人公に婿入りをお願いします。
社交の場でカツラがバレたことを考えると、ルルの結婚は難しくなったのでしょう。
主人公は、ルルを幸せにしたいと決意します。
しかしルルは、そんな主人公に引け目を感じている様子。
髪がないことは、当然コンプレックスになっていたのです。
しかし主人公はそんなルルを優しく抱きしめるのでした。
……いいなぁ。
春の草原に吹く風のような、温かく爽やかなお話でした。
──以上、拙い感想でございますが、何卒ご査収くださいませ。
企画 感想 若葉エコ(エコー) @sw20fun
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