屋根裏の配信者

△04

お昼ご飯は生協のパンで軽く済まして、大学図書館の一角を陣取りました。今日は午後の講義が無いので、夕方のアルバイトまでの時間を配信の話題探しに使おうと思います。

科学、社会学、心理学、語学、色んなジャンルの棚を巡って、誰も使ってなさそうな本を手当り次第に持ってきます。私の趣味の所為でどなたかのお勉強を阻害する訳にはいきませんから、本選びは神経を使うのです。本を流し見ながら、使えそうな内容をメモしていきます。

田舎育ちの私は、華やかな青春を送った経験もなく、ゲームやマンガに詳しいわけでもなく、"話題に乏しい人間"と自己評価しています。

実家に住んでいた時は、家族から振られた話に相槌を打っていただけで良かったのですが、大学生になって都市部での一人暮らしを始めて、自分から話題を挙げる難しさを思い知りました。

皆さんに交じってカラオケやら飲み会やらに参加しても、備品のようにそこに居座ってニコニコしているだけの私。これではいけない、と一念発起してのべつ幕なしに話せる女を目指してVtuber活動を始めたのです。

とはいえ、無趣味・無個性な生活の中から話題をひねりだすのは容易ではありません。迷った挙句に、図書館にある無限の知性の一部をお借りすることにしたのです。