第9話 ドライアドさん

ドライアドさん

ーside フィルー




『初めましてなのだー』



 目の前には美しいお花の妖精。

 翼は朝露を浴びた花びらのようにきらめいている。光が差し込むたび、青と銀のグラデーションが揺れ、見る者の心を奪う。小さな体は花びらで織られたドレスに包まれ、風に揺れるたびにほのかな花の香りが漂った。花の精霊さんが舞うたび、青い薔薇の花びらが舞い上がり、空気に魔法のような輝きが広がる。


 

「ギャア?」「キャン?」



 ラピスもリルも首を傾げていることから、知り合いではないのだろう。

 第一、この子は人語を話している。子供っぽい口調だが、理性的な感じもするし、幼いっぽいってだけだろう。だから、この2人と友達は無理かなー。

 


「初めまして。君は?」

『私はダンジョン工房のダンジョンマスタードライアドなのだー』



 ドライアド。舞うことで自然を生き生きさせて恵み豊かにすると言われているという伝説の妖精だ。

 というか、ドライアドがダンジョンマスターなのか。そんなダンジョン聞いたことがない。


 

「はっ!ダンジョン工房のダンジョンマスターということは!ダンジョン工房の種が開花して君になったってこと!?」

『そーなのだー』



 ダンジョンの種というからてっきりダンジョンが生まれるのかと身構え、いざとなったら戦える準備もしておこうと思っていたが、違った。

 


『早速だが、テイムしてほしいのだー。神様からそのように、命令されているのだー』

「神様?」

『エレメンタル様の事なのだー』



 エレメンタル、あの人神様だったのか。

 精霊はハイエルフ、妖精、精霊、神様の順に偉いとされている。あの人偉い精霊だと思っていたけれどそこまでの位だったとは。現金だが、若干敬っておくか。



『うちがあなたをサポートしたいと、エレメンタル様に言って許可を出してくれたのだー』

「ん!?」

『主人はとても面白そうな魔力と豊富な経験とアイディア、クラフトの知識を持っているのだ。そういうところに惹かれたのだ』



 嬉しいことをいってくれる。妖精に気に入られたって事とちょっと舞い上がっても良いのだろうか?


 

『その認識であってるのだー!気に入って加護を与えたいからテイムしたいのだー!』

「そういう事ならわかった。テイム!」



 ーーピカーッ



『成功なのだー』

「やった!」

「キャンキャン!」

「ギャア!」



 まさかこんな短期間に3匹の従魔を従えられるとは。

 嬉しい。ステータスを確認する。

 

 

[ステータス]

◯魔法:火魔法Lv2、水魔法Lv2、風魔法Lv3

◯戦闘:剣術Lv3、弓術Lv3、槍術Lv2、体術Lv3、盾術Lv2

◯サポート:回復魔法Lv2、鑑定魔法Lv4、補助魔法Lv2

◯クラフト:武器制作Lv1、防具製作Lv1、修理Lv2、強化Lv1

◯従魔;ラピス(古代竜)、リル(フェンリル)、ドライアド

◯古代竜の加護(生命力強化)、フェンリルの加護(基礎能力、攻撃防御命中率素早さUP)、花の妖精ドライアドの加護(状態異常無効)、エレメンタル神の加護(運UP)



 いくつかのステータスが変わっているみたいだ。

 加護によって俺も強くなっているみたい。一通り見終わった後、ドライアドさんが声をかけてきた。

 

『それでは、主人には今からモデルルームダンジョンを設計して欲しいのだー』

「ふむ?」

 

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ダンジョン工房🔨作れば作るほど工房がLv.upするダンジョンで、精霊さんやもふもふと雑貨屋始めて鍛治無双します🔨 西園寺わかば🌱 @book_hobby

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