第8話 ダンジョン工房の種を植える
-side フィル-
「ダンジョン工房の種、どこら辺に植えよう?」
この町、アゼルナは田舎である。俺の家の鍛冶屋もだだっ広いだけの何もないところに突如現れる。
それは決して人や建物が少ないからというわけではない。人も多いが、その分土地が広い。
したがって、余っている土地が沢山あり、どこもかしこも田舎のようにだだっ広くなるのだ。
そのおかげで俺は小さい頃から自分の土地を手に入れていた。今回、ダンジョン工房の種を植えるのもその土地だる。まあ、手に入れたってだけでそこで何をするわけでもなく、ひたすら手入れして放置していただけだけど。俺の効率厨はそこから始まった。
何も使い道もない土地を手入れするのにそこまで時間はかけていられないからな。
それはそれとして、俺の土地もとても広い。しかもここのところのクラン爆発騒ぎで多忙を極め、手入れを怠っていたから雑草だらけ。
埋める場所はない。
「まあーなるようになるか」
「キャンキャン!」
「ギャア!」
精霊さん達もなんとかなるだろうと言ってくれている。俺よりもダンジョン工房の種についてしっかりと理解してそうな2人がいうのならそうなのかもしれない。
そう思ったので、テキトーに足元の雑草を引っこ抜き、ここに決めた。
「えーっとどうやって埋めたらいいんだろ?」
「ギャア?」
「ん?なになに?魔力を注いで?」
「ギャア!」
「水と光魔法で覆って強制的に情報させ続けたらいい!」
「ギャア…」
「ん?そんな事言ってないって?」
「ギャア」
「普通は数日間かけてじっくりと種を孵すものだから、間違えるなと」
「分かった。そうしよう」
ラピスが切実そうに訴えてきたのでそう答える、別に急いでないからな。効率的に水と光魔法をぶっ放し続けたら早いだろうが、じっくり育てるという楽しさがあるのもまた事実。
まあでも、俺1人だったら、まあ1日でダンジョン工房の種は間違いなく開花しているだろう。
だから、自然に任せて花が成長するのを見たいタイプのラピスのやっていることはとても正しい。しばらくは種を愛でるところからスタートしよう。
「よし!じゃあ始めるか!」
「キャンキャン!」
「ギャア!」
「じゃあ、俺はここに魔力を注ぐからラピスは水魔法を、リルは光魔法をくれるかい?」
「キャンキャン!」
「ギャア!」
2匹ともいいよ!と言ってくれる。全属性が使える従魔が2匹いるのはチートすぎである。
もしかして、エレメンタルもこの状況を見越して俺に卵を託したのか?
いや、あれは絶対、俺が一つの卵を孵すのを見て、ちょうど良いから一緒に育ててほしい。自分で育てるのめんどいから育ててほしいって意味だと思う。まあ、もちろん、同年代にライバルらしいライバルがいない2匹だから、一緒に育てることで、ライバルや友人関係を作ろうとしたという意図も感じられるが。
まあ、偉大なる精霊様の言っていることを解釈しようなんて無理な話だ。
「のーんびり育てますか!」
「キャンキャン!」
「ギャアギャア!」
そう思って元気にのーんびり工房を育てようとして3日後、早くも花が開き始めたのだった。
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