第24話  ハリスさんとの再会  

 あたしはその日は、『初夜』ということで、キャスパー様と一緒のベッドで休んだの。キス以上は駄目なんだって。

 キャスパー様は、一晩中優しく、キスをしてくれた。

 時に、赤ちゃんにするような軽いキス。時に、何故だか腰が浮いて来てしまうような熱いキス。

 キャスパー様の舌が、あたしの口の中を這い回り、舌と舌とが絡み合ってとても夢心地になった。


 あたしはいつの間にか、キャスパー様の腕の中で眠りについていた。


 先に目覚めたのは、あたしかと思ったがキャスパー様の方だったみたいだ。「あたしの寝顔を見ていた 」と言ってくれ、オデコにキスをしてくれた。


 少したって、この家の執事だという人が、朝のお茶を持って現われた。

 彼がデイジー家の執事、ハリスさんだったものだからビックリだ。



▲▽▲



 婚礼の時の爆弾の犯人は直ぐに捕まった。

 なんと、デイジー家の執事のハリスさんと庭師の息子のマルコだったのだ。

 あたしの結婚を聞きつけ、お祝いに来てくれたのだという。

 その時に、爆竹でお祝いをしようとしたら、いっしょに来ていたマルコが神殿の中まで、爆竹を持って来てた。そこで婚礼に反対していたキャスパー様の親衛隊のお姉様方を見つけた訳だ。驚かそうとして、爆竹に火をつけた……ついでに火薬の量も間違えた……が事の顛末らしい。


 ハリスさんとあたしの関係、マルコに悪意の無かったことが認められて、直ぐのマルコは婚礼の式を邪魔したから、尻叩き10回の刑で開放になった。(賢者様が軽くと言われて形だけのものだったとか)

 良かったわ。


「奥方様、昨日はぐっすり眠れましたか?」


「どうして、ハリスさんがここに居るの?」


「ヘンリー様亡き後、ワタシが使えるのは奥方様だけですよ」


「ハリスさーーん嬉しい!!知った人が側にいてくれるのは嬉しいわ」


大神官グレイス・ルースト様にお礼を言ってください。本当に愛されてますね」


「はい!!」


 あたしは、笑顔でハリスさんに答えた。

 でも、ここに来るまであたしは何人の人の死を見てきたのだろう……そして、自分だけが生き残ってきた……


 今まであったことを全て、キャスパー様に話した。


 キャスパー様は、あたしの加護の力が強いだけとおっしゃるけど……。  


「過ぎた事よりも、これからのことを考えましょう」


「キャスパー様……」


キャスパー様はそっとオデコにキスをした。


「幸せになりましょう。マリオン」

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