第17話  家に帰ったら……マリオンが持ち込んだ不幸?

 あたしは、叔母さんの家の前で呆然と立っていた。


 叔母さんの家が、何処にも無いのだ。

 正確に言えば、家があった場所に家が無いのだ。爆発でも起こして木っ端微塵に吹き飛んだみたいだ。

 残骸は、あたしが留守にしていた三日の間に片づけられ、叔父さん、叔母さん、従弟のケインは、骨も残らない程粉々になってしまったらしい。



 ▲▽▲



 あたしは、叔母さんから離れるように、ニールさんに助言された。


「こちらで、当面、暮らせるところを用意します。叔母様の所には帰らない方が良いでしょう」


「でも、「さよなら」くらい言いたいわ。血の繋がった叔母さんだもの」


「分かりました。では馬車で送りましょう」


 ――――で、冒頭に戻るんだけど。

 立ち尽くすあたしに話しかける女の人がいた。


「恐ろしい子だね……お前は……」


 震えた声で言われて、あたしは驚いて振り返った。

 レイチェル叔母さんによく似たイオナ伯母さんだった。会ったことはないけど直ぐに分かった。

 とても、信仰深くてサントスの町で八百屋を経営しているんだって、ハリスさんが言ってた。

 余った、野菜を神殿に届けて、神官ルースト巫女リーアの食事や、旅人のための食材を提供しているらしい。首から大きな、サントスの『神殿のシンボルのゼナの花の首飾り』をしている、だから会えばすぐに分かるだろうと言われていた。


 そのおばさんが目の前にいる……

 しかも、あたしを恐ろしいものを見るような目で見てる……


「せっかく、セドナをアルテアの城壁の中に市民権のあったクリフと結婚させたのに……妊娠した身で蒸気機関車に乗るから……あんな事故に巻き込まれて……お前一人が生き残るなんて!! 今回も何処に行ってたんだか!! またお前だけが生き残るなんて!!」


「イオナ伯母さん……? あたし……デイジー家に行ってたの」


「デイジー家? レイチェルが言っていたマリオンをデイジー家に嫁がせた話は本当かい?」


「うん……」


 あたしは、複雑な顔をして返事をした。

 だって、イオナ伯母さんがあたしを利用してくるかもしれないモン。

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