第18話  イオナ伯母さんの冷たい言葉

 ニールさんが、イオナ伯母さんを見つけて二人で話を始めた。

 あたしは、少し離れたところにいるように言われたの。

 途中、伯母さんの「「ええっ!!」」とか、「「とんでもない」」という悲鳴に近い言葉が聞こえてきた。

 何だろ……嫌な予感しかしないんだけど……


 太陽が真上に来る頃、ニールさんとイオナ伯母さんの話が終わったようだった。


「マリオン奥方」


 ニールさんがあたしを呼ぶ。


「はい」


「これからは、このイオナ・ディノスさんをあなたの後見人にします」


「でも!! あたしは、親戚の人に不幸を招いてしまうのよ!!」


「こちらのイオナ様なら、とても神への信仰心が深くておられます。大丈夫ですよ」


 あたしはチラリと伯母さんを見た。

 伯母さんは、ちっとも喜んでない。「厄介なことを……」とか、「私の身に何かあったら、どうしてくれるのさ!!」と、ブツクサ言ってる


 ニールさんは、用が終わったとばかりに帰ってしまうし、あたしは、イオナ伯母さんと二人だけになってしまった。


「こうしていても仕方がない。もう三人の形ばかりの葬儀も済んでるからね。私も明日、サントスに戻るところだったんだ。一緒にお出で」


「はい。あたし、伯母さんと暮らすの?」


「それは御免だね。お前は不幸を呼び込むような子だからね……」


 それを聞いてあたしは、とても悲しくなった。


 伯母さんは、急に歩き始めたと思ったら、急に止まって手を叩いた。


「そうだ!!名案を思い付いたよ。お前みたいな不幸を呼ぶ娘は、神に差し出せば良いんだよ!! 確か、遺産もがっぽりもらっていたね?」


「でもそれは、ヘンリーさんのお金よ。あたしが好きにして良いお金じゃないと思うの」


「神殿に寄付するんだよ。お前の罪深さはそれでも消えないくらいさ!!」


 伯母さんの低くて冷たい声に、あたしは泣いてしまった。


「あたしは、誰にも何もしてないわ」


「だが、上の妹も、下の妹も、大事故で亡くなっている。お前だけが生き残ってね。そして、元元老院長も死なせたのかい?」


 伯母さんは、無表情な顔であたしを見た。

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