始まりの終わり

私たちのプロローグ

「うぁぁぁ!!」

 私はその時、目が覚めた。


 目の前にはすでに見知った顔がある。


「こ、ここは?逃げ切れたの!?」


「あぁ、戻ってきたらしい。俺達が元いた世界に…」


 公園の時計は私があっちの世界に引き込まれた時間から少ししか動いていない。

 日差しが暑く、今はお昼みたいだ。


「俺も自分の事について全部思い出したよ。君はどうだい?」


「私もそうみたい」


 そこから彼と私はいろんな事について話し合った。

 あっちの世界で最後にあった事について、その前に自分が神社であった事について

 …自分が抱えていた物について


「君も色々あったんだな」


「うぅん…もう良いんだ。それに貴方も結構なモノじゃない」

 二人して笑い合っていると……ミヨちゃん、ヨミのことを思い出す。


 彼女の祠は…公園から消えて無くなってしまっていた

 それは相手も同じだったようで、しょんぼりとした顔つきになる。


「彼女もきっと本当のお母さんと一緒にいれて、成仏できたんだよきっと!!

 まぁ…そうだよね!彼女のお母さん、強そうだったもん。凄いよあの人は」


「……そうだな」


「そうだよ、大丈夫大丈……」

 あれ?おかしいな……今晴れてるのに何で、雨降ってるんだろう??

 私の霞んだ瞼の奥で彼はにっこりと笑う。


「君が大丈夫じゃなさそうだな…全く」


 違う、雨じゃない、泣いてるんだ私。

 私を安心させるように彼は私をそっと抱きしめる。


「どうして、大丈夫だって言ってるのに。もう良いって言ってるのに…」


「無理は体に良くない…」

 私は喉が枯れるまで泣いて泣いて泣いた。


 ーーーーー


「そういやお前、家大丈夫なのか?両親離婚してどっか行っちまったんだろ?」


「いいよ、別に。高校ももう辞めたし、一人暮らしでも始めようかな?ハハ!!」

 私は時々鼻声になりながらも、明るく答える

「そうはいっても金もねーだろ、そうだ!俺んちくるか?俺大学生で飯もろくに

 作れねーし、お前のカレーが食いたいからな。もちろん飯とか家事やってくれるんだったら家賃もゼロでいいぞ」


 私は思わずキョトンとしてしまったが、すぐにこう返した。

「気遣いありがと。


「へ、変態とはひどいなぁ…俺はお前のことを思って……」


「はいはい…分かってますよ。じゃあ特別に一日だけ泊まってあげようかなぁ…?」

 そう言い、私は学生鞄を持って立ち上がった。


「そういや貴方名前聞いてなかったわね…貴方名前なんていうの?」


あめふりおとや雨降音也、君は?」


しずくおちつゆり雫落露理よ、以後よろしく」

 私達は笑い合いながら歩み始める


「露理、カレーがいいなご飯」


「じゃあ、帰りにプレゼントしてくれたら考えてあげる」


「えぇ…まぁ分かったよ」


「うっそぉ私、冗談で言ったつもりなのに!?」


 こうして私達の物語は今に始まったのですが、その話はまた今度にしましょう……

 今は彼との話を楽しみたいので。


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夏空の天気雨 ファンラックス @fanracx

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