第5話 僕が無に消えよう。

大きな木製のドアに立ち入り禁止の札。

 昔行ったお化け屋敷の呪われた部屋のような場所。

「ついたよ、ここが姉さんの部屋だ、」

「ここがですか?」

 ここが天照様の部屋、間違えじゃないのか。

「僕が開けるから、すぐに入って」

「わかりました、」

 そう言うとスサノオさんが、扉に向けて手を向ける。

「風よ、ここを開けてくれるかい?」

 その一言で後ろから突風が吹き扉が開く。


 風に押されて部屋の中に入る。

 部屋の中の大量の紙が宙に舞う。

「入るなと書いてあったはずですが?」

「ごめん姉さん、」

「帰ってくださいますか?」

「そうはいかないんだ、頼む少し話を」

 綺麗な透き通る声はその時に一気に豹変した。

 

「いやじゃ」

 ん?誰だ?

「嫌じゃ嫌じゃ嫌じゃ!!」

「姉さん、」

「なんでお主の話を聞かねばならんのじゃ。これから妾は、七海とお菓子パーティをする時間なのじゃ!」

 そこには長い黒髪で綺麗な女性がいた。体格は小学生のようだが。


「なんじゃ貴様、失礼なことを思ったな」

 (この人も心が読めるのか。)

「それはそうじゃ。誰だと思っておる。ワシは天照大神ぞ。」

「すみません。」

「すぐ謝るな、小僧。貴様の悪い癖じゃぞ。」


 そこで、スサノオさんが割って入る。

「姉さん、頼むよ、。ごめん鏡原さん、突然。でもどうしても話がしたくて。」

「いやいや、兄さんの頼みなら断るわけなけないっすよ。姉さん、兄さんの話聞いてもいいんじゃねぇっすか。」

「七海、、お菓子パーティは、」

「お話の後にいくらでもやりましょうよ。」

「七海がそうゆうなら。」

「なら決まりっすね、うちは、はやっちと外で話してます。」

 えっ?僕?正直少し鏡原さんは苦手なんだよな。

 変な敬語の金髪ロング。顔は美人だが、ヤンキーというやつにおおよそ耐性がない僕は彼女が苦手だ。

 

「いや、速太はここにいてほしい、それに鏡原さんも。」

「兄さん、じゃまじゃないっすか?」

「うん。鏡原さんにも聞いてもらいたいんだ。」

「それなら、きかせていただきます。」

「話す前に、速太、鏡原さんこっちに、僕の後ろに来て。」

 そう言われると、僕たちはスサノオさんの後ろにいく。

 

「じゃあ早速。姉さん、天叢雲剣が速太に力を貸した。」

 その一言で全てを理解したのだろう。

 先ほどの姿とは打って変わって、アマテラスさんが大人の姿になる。

 それと同時に部屋がいきなり熱くなっている。


「スサノオ。もう一度申せ。一言一句違わずにな。」


 「天叢雲剣が速太に力を貸した。」

 すごい勢いで、部屋のものに火がつき出す。

 スサノオさんが風で障壁作り僕たちを守ってくれている。


「それがどういうことかわからんバカではないよな。スサノオ」

「うん。姉さん。これは、おそらく災害の前触れだ。」

「では、手っ取り早く小僧を始末しろ。」

 僕を、、始末する、、?

「姉さん、それはできない。彼と彼女との約束があるから。」

「黙れ。ならばどう落とし前をつけるのだ。あってはならんことだぞ。」

「そうだね、でも、この力をうまく使うしかないよ。」

「うまく使う?災害から出た神器を?昨日祈りの力をしった小僧が?」

「この子がもしなにかをしたら、そうだね、。僕が無に行く。」

 間が開いて部屋が元に戻っていく。

 

「よい、スサノオ。お主も責任を取ると言うことなのであれば、良いぞ。」

「なら決まりだ。そして姉さん。この剣の使い方を教えてくれるかい?」

「ならん。それはならん。手はかさんぞ。」

「なんで、。」

「貴様、図々しいぞ。特例を認めた挙句に、力の使い方まで教えろとは。」

「ねえさん、、。」


 沈黙の中、スサノオさんの後ろから鏡原さんが前にでる。


「こん件、うちは部外者っすけど、1ついいですかね。」

「どうした七海?」

「兄さんの覚悟に惚れたっす。うちはこの件兄さんの肩持つっすよ。」

「なんでじゃ七海、、。」

「はやっちが強くなりゃ、うちらの夢に近づくっす。それに。」

「それに?」

「男が他人のために命かけんのに弱いっすからうちは。」

 その言葉で、アマテラスさんが元の姿に戻る。

 

「ななみ、、あーーもうわかった。その小僧こっちによこしな。」

「姉さん。ありがとう。ほら、速太。」

 唆されてアマテラスさんの前に行く。


「小僧。神器を使い方を教える前に一つだけ。これだけは覚えておけ。」

「なんですか?」

「神器は他の祈りの力とは違う。これはお前自身の魂。これが壊れたら貴様も無に消える。」

 

 

 

 

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これは、夢の中で神の力を使い災害を止める物語 夢実 @sybonder

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