第2話 優勝者は誰の手に?
その問いに僕は
「ただの、落ちこぼれだよ。」
「うそをつくんじゃねぇ!だったらなんで俺の攻撃をよけられるんだ!」
「知らないよ。というか、そんなことはどうだっていいんじゃないの?今は戦いに集中しないと。」
とはいっても、炎魔法をもろに食らったその状態じゃ何もできないはずだ。そう思っていたのに相手は立ち上がった。
「落ちこぼれなんかにぃ、俺が負けるはずがねぇんだ!これでくたっばちまえ!」
すると男は魔力を手に収縮させ、やがて一つの光のたまに変化した。
「この攻撃は風魔法じゃ、到底はじくことは不可能!残念だったなぁ!この勝負は、俺の勝ちだ!」
そして男はその球を僕めがけて発射した。しかし、そこで僕は、風魔法を魔法に対してではなく、男に対して発動した。
「風は、相手を引き寄せる。」
瞬間、男は僕の目の前まで引き寄せられた。そして、男が見たのはほかでもない、目の前まで迫ってきている自身が放った光の球だった。
「は?」
そして、光の球は男に直撃し、結果僕が勝利した。
大会会場を後にした僕は、待機室に来ていた。すると突然レイナが僕に駆け寄ってきた。
「すごかったわね!流石、私が教えてあげただけはあるわね。ここまで成果が出るなんて。」
いや、君のアドバイスはまったくもって意味をなしていないんだがな。だがそれを言ってしまうとなんだか人間として終わってしまうような気がしたので
「はは、確かにそうなのかもね。」
と言っておいた。そういえば。と、ふと思った疑問をレイナに投げかけてみることにした。
「ところで、君は何回戦目に出場するんだ?」
「いや、私は出ないわよ?」
「え?」
「え?じゃなくて、私もともと村で一番だったでしょ?で、今回の優勝特典である最高峰の魔法学校へ行けることも決まっているから、出る必要がないのよ。」
「じゃあ、なんでここへ?」
「それは、あなたがどこまで戦えるのか見ておきたかったからよ。」
そういうことだったのか、ってちょっとまて!
「おい、さっきの優勝特典ってのは?」
「話聞いてなかったの?もう一度言うわよ。優勝者には最高峰の魔法学校へ行ってもらうっていうものよ。」
「それは、義務ですか?」
「そうよ。」
お金に目がくらんで細かいところまで見ていなかった。どうしよう、野草生活か、魔法学校へ行って落ちこぼれと虐げられるか。うわぁぁ、どうすりゃいいんだ。いや、簡単か。野草食べるよりかは虐められていたほうがまだましだ。それならこれから僕がやることはそう、優勝者になって学校に行くしかない!
そして何試合かが終わり、最終試合まで僕は勝ち残ることができた。そして僕の名前が呼ばれ、大会会場にまた足を踏み入れた。
しばらくして、少年が姿を現した。見た目は僕と一緒程度だろうか、黒いTシャツに緑色のパーカーを着た、魔法使いらしくない服装をしていた。
「ザードリだ。よろしく。」
「よろしく。」
お互いに戦闘態勢に入る、相手の手にはナイフ。僕の手には剣が握られていた。
戦闘開始時の合図とともに、少年が魔法を詠唱し始め、雷魔法を放ってきた。それを僕はほぼ紙一重で回避する。あまりにも早すぎる魔法発射速度に焦りを抱きながら僕は少年に接近する。ところが少年は炎魔法で炎を自身を囲むようにして、僕の攻撃を防御する。そこで僕は炎魔法を風魔法で吹き飛ばし、少年に攻撃を仕掛けようとしたが、炎は消え、もろに反撃を食らった。すると
「なんでお前はこんなにも弱いのに最終試合までこれたのかがわからない。」
倒れている僕を見つめながら少年はそう言ってきた。
「大会の運営が何か仕込んだのか?それともただの運?」
何やらぶつぶつ言っているが、今の僕には関係なかった。僕はただひたすらに、少年をどう倒すか思考していた。あの感じ、まだほかの魔法も使えるくちだな。だったらおそらくあの魔法がいつか来る。その魔法が来るその時まで、耐えるしかないな。考えがまとまったので、僕は、その重たい体を持ち上げた。
「へぇ、まだたつんだ。あながち弱すぎるってわけじゃなさそうだね。じゃあ、これならどうかな?」
瞬間、炎をまとった球が僕に向かってきていた。僕は風魔法を使い、回避することに成功した。まだだ、これじゃない。
「ならこれは!」
雷が僕の周を囲む。けど、僕はその小さな隙を見逃さなかった。
「風は、相手を引き寄せる!」
風は少年を引き寄せた。だが、それは罠だったのだ。
「引っかかったね。水よ、相手を覆え!」
次の瞬間、僕は水に囲まれ、身動きが、うまく取れなくなった。だけど、計画通り。そして、ついに来た。ここで決める。一か八か。チャンスは一回。
「風は、水を打ち払い、相手を引き寄せる!」
水がはじかれ、少年は僕のもとへと引き寄せられ、僕は剣をふるう。しかし、少年も負けじとナイフで攻撃を仕掛ける。そして次の瞬間、決着がついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます