風魔法しか使えない落ちこぼれと言われた僕はどうやら現代最強の魔法使いだそうです
@THERDRIE
第1話 風魔法しか使えない男
「んっ」
意識が朦朧としている中で僕は目を開け、重たい体を持ち上げる。眠気に苛まれながらふと時計を見ると、時刻は12じを指していた。それを見ながら僕は
「今日も朝飯は抜きだな。」
とつぶやきながら、こじんまりとした自身の家でゆっくりと身支度をする。そして剣を肩にかけ、玄関の扉を開けた。
※
村から少し離れ、森に囲まれた場所で、僕はひたすらに剣技と魔法の練習をしていた。とはいっても、僕が使える魔法は、誰もが使える風魔法のみ。それゆえ、みんなから落ちこぼれと言われていた。だからせめて剣技で差を縮めようと思っていたのだが、実際は剣技も人に比べて劣っていた。それでも僕は努力は報われると信じ、練習し続けていた。すると前方から、足音が一つ、聞こえてきた。誰だ?と僕は怪訝そうに足音がする方向を見つめながら、戦闘態勢に入っていた。しばらくして、一人の赤い髪の毛をして、細かい刺繡が入ったドレスをまとった少女が僕の目の前に現れた。
「なんだ、君か。警戒して損したよ。」
「なんだって何よ。あんたの練習を見に来てやってるんだから、少しは感謝しなさいよ。」
「そこのところはものすごくお世話になってるよ。」
彼女の名はレイナ。この村一番の魔法使いだ。多才で、将来有望なことから来年、最高峰の魔法学園に通う予定故、日々修行に明け暮れているらしい。なのにそんな中、なぜか時々、僕の練習を見て、アドバイスをくれている。だけど、多才な彼女にも、だめな部分が存在する。そうして、僕が風魔法の練習をしていると、
「あ~前にも言ったでしょ!?風魔法はもっと、こう、ブウァァァァ!!ってやる感じでやるの!ぶうぁぁぁぁぁ!!って!」
そう、教えるのが壊滅的なほどに苦手なのだ。なので、アドバイスをされたところで、何一つわからないのだ。それが原因なのか、はたまた僕のセンスのなさなのかわからないが、一向に上達している気配がない。はぁ、とため息交じりに空を見上げると、日は沈んでいた。
「もうこんな時間。早く帰らなきゃ。じゃあね!」
「ああ、それじゃあ。」
そう言って、僕は家に帰った。
※
そうして帰って来たはいいものの、僕はそこで重大な問題に直面した。
「お金が、ないぃぃぃっ!!」
頑張ればあと2日は持つといったところか。だが、それを逆手に取ると3日目は食量が尽きるということになる。あぁ、おしまいだ。そう思っていた時、ポストに一通の手紙が入る音がした。僕はポストへと足を進ませ、届いた手紙の封を開け、中に入っていた一枚の紙を取り出して広げた。
「村一を決める大会?」
そう、中には、村一番の魔法使いを決める大会の招待状が入っていたのだ。すぐに僕は興味をひかれた。とはいっても、僕はそっちはなく、
「ゆ、優勝者にはしょ、賞金100万ツーレ!?」
優勝でもらえる、お金だった。で、だ。大会開始日は、ちょうど2日後なのだ。なんというベストタイミング!これを見逃すわけにはいかない!そう思い、僕は2日後へ向けてコンディションを整えるのだった。
※
大会当日、僕は受付を済ませた後、選手待機室で待っていた。待機室は狭いせいかやけに暑苦しく、ほんのり汗をかいていた。そして僕の試合は1会戦目、それゆえか同時に緊張もしていた。すると後ろからいかにも強そう。といった雰囲気をまとった金髪の男が僕に話しかけてきた。
「あれぇ?なぁんでこんなところに落ちこぼれクンがいるのかなぁ~?」
ゾロぞろとそいつの後ろから人が現れる。そしてそのうちの一人が口を開く。
「しょうがないじゃないっすかぁ、きっとこの大会でかってみんなからのイメージを払拭させたいんすよ。」
周りの人間も次第に笑い始める。だが、僕はどうでもよかった。そう、今僕の頭の中は賞金のことでいっぱいだったのだ。するとどこからかレイナが現れ、
「大丈夫?」
と、心配の声をかけてくれたので、僕はこう返すことにした。
「大丈夫。」
「絶対に大丈夫じゃない感じじゃん。」
いや、別に賞金ののことで頭いっぱいだったからあいつらがナニヲいってるのか全然聞こえなかったんだけど。
「まあ、毎日トレーニングしてきたから、きっと報われるわよ。頑張って!」
彼女に優しく肩をたたいてもらうのと同時に実況で僕の名前が呼ばれ、そうして、僕は会場へ向かうのだった。
※
そうして、僕は会場へ足を踏み入れた。あたりには観客。実況席には、村長が座っていた。バクんバクンと心臓が高鳴る音が聞こえる。いったいどんな奴が相手なのか、と少し不安に思ったいると、相手が会場へ現れた。あれ?僕、この男に見覚えがあったよう...な?だれだっけ?そう僕が思考を巡らせていると相手が口を開いた。
「なぁんだ、落ちこぼれクンじゃあないか。こんなん余裕で勝っちゃうよ。」
そう煽る相手に対して、僕は反論した。
「そういう風に人を侮ってはいけない。その慢心がいつか敗北をうむよ。」
「落ちこぼれ風情が、俺に指図するな!」
それと同時に、試合が始まった。
「これでも食らえ!」
瞬間、相手は水魔法をこちらに撃ってきた。が、僕は難なくその攻撃を回避する。それと同時に、僕は驚いていた。なんてったって、自身が強いと思っていた相手の攻撃をいともたやすくよけれていたからだった。もしかしたら行けるかもしれないという希望を抱きつつ、僕は相手の魔法を分析する。
「っ...!これならどうだ!」
次は炎魔法、か。
「風は、火を押し戻す。」
押し返した炎は、相手に直撃した。そのせいか相手はうめき声を上げながら地面でじたばたしている。僕はそんな相手に歩み寄る。すると相手はやり場のない怒りをぶつけるかのような勢いで、叫んだ。
「なんで、なんで落ちこぼれがここまで強いんだよ!なんなんだよ、お前は!」
と
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