第32話 文化祭の店決め

「と言うわけで、話し合いの結果。2年E組はメイドカフェになりました。これから、メイド服をどうするかやメニューや言葉遣いなどの話し合いをしてもらいます」学級委員の真心が仕切った後、クラス全員で話し合いが始まった。


◇◇◇◇


話し合いの中、「尚也くん、機嫌悪い?」小梅はずっと俯いてる、尚也を心配そうに見つめた。

尚也は素っ気なく「別に」と呟いた。

小梅は困ったように、尚也を見つめた。

すると「安心して。尚也、照れてるだけだから」と雄馬がいたずらっぽく言いながら、尚也の肩に手を置いた。

小梅は目を丸くした。「そうだよな。俺だって、前の夜朱里のメイド服姿に興奮した」と海斗が生々しい事をサラッと言った。

「マジ?!」「お前ら進んでんじゃん」翔と雄馬が興味津々に海斗に質問攻めをした。

女子達はそんな2人に呆れつつ、頬を赤らめた。

「あ〜もう、バカ」尚也は額に手を当てた。

顔が真っ赤だ。

「尚也くん?」小梅は尚也を心配そうに見つめた。

すると「ねぇねぇ、尚也。小梅ちゃんが似合いそうなメイド服選んでよ」と朱里がスマホを見せた。

尚也は顔を真っ赤にさせ、焦ったように「お、俺。そう言うのわかんないし」とモゴモゴ言いつつ、眼鏡を整えた。

朱里は残念そうに「じゃあ、小梅ちゃん。尚也に似合いそうなメイド服決めてよ。」と小梅にスマホを見せた。

小梅は真剣に見つつ「やっぱり、メガネありで、でも無しも良いかも。後は、ロングスカートの黒色かな?」と分析し始めた。

隣で聞いていた、尚也は「小梅なら…似合いそうだけど…」とボソッと言った。

「ほんと?」小梅は目を輝かせた。

朱里は「じゃあ、選んであげてよ。尚也」と尚也にスマホを見せた。

「えっと…」尚也はメイド服の写真を色々見つめ、小梅の方を向いた。

「何かあった?」と小梅は目を輝かせていた。

その姿に尚也は「あ〜。本当に…」と額に手を当てた。

少し様子が違う、尚也に小梅は混乱するしか無かった。


◇◇◇◇


昼休みになり、いつものメンバーは体育祭と文化祭と修学旅行の話で盛り上がっていた。

「ねぇねぇ、知ってる?体育祭でハチマキ交換したら付き合えるんだって。何処にでもあるジンクスだよね〜」恵麻の言葉にみんな苦笑した。

「まぁ、でもジンクスはともかく、体育祭は告白ラッシュすごそう。」朱里はいたずらっぽく男子軍に目線をやった。

朱里の目線の先を見て、真心は苦笑した。

「確かに、尚也と雄馬はともかく、彼女持ちだって言ってるのに海斗と翔も告白されるもんね」真心の言葉に海斗と翔はため息を吐いた。

「尚也くんもやっぱり告白されるの?」小梅は隣に座っている、尚也に聞いた。

「ん?まぁね」尚也はメガネを外しつつ、答えた。

その仕草に小梅はドキドキしつつ「OKしたりは…」と1番聞きたかったことを聞いた。

尚也は苦笑し「しないよ。俺がそんな軽い男に見えたなら心外だけど」と言い、頬づえをつき、小梅を見つめた。

「い、いやそういう訳じゃないけど…」と小梅は頬を赤らめた。

「それに、誰かさんの甘いもの食べるのに付き合わなきゃいけないし」尚也はいたずらっぽく笑った。

今までに無い一面に、小梅の心臓は鳴り止まなかった。

すると「相変わらずだな〜。だけど修学旅行は、俺が全部持っていくからな」と雄馬は明るい笑みを浮かべた。

『ちろんだよ』事情を知らない真心以外、全員頷いた。


◇◇◇◇


夕方。縁側で少し考えた。

尚也も告白ラッシュに合ってるのだと考えると複雑な気分だ。

小梅はため息を吐くと「小梅。何か悩み事か?」と流星が優しく微笑み、小梅の隣に座った。

「流星兄ちゃんは、体育祭とかの行事で告白ラッシュに合ったことある?」と流星に聞くと、流星は驚いた顔をした。

「あ、いや。まぁ…優大と一緒だけど、あるにはある」と曖昧に答えた。

「その時付き合ったりした?」小梅の質問に流星は少し笑い「俺には、小梅だけだよ〜」と小梅の頭を撫でた。

やはり、はぐらかされた。

小梅はため息を吐き、空を見上げた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

青春と不安は紙一重 関ケ原 しらす @sirasu915

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る