ep.優佳と怜ちゃん

 深夜の学校。

 風鈴を大切そうに両手で持つかすユウが、窓際の椅子に座ってぼぅっと星空を眺めている。


 (不意に、ハッとしたように立ち上がって)

「……また、誰かの声が聞こえる」


「『誰かと話したい。誰かと繋がりたい』って……」


 SE:風鈴の音が二回(それと同時に「ゆう」「ファイトっす!」と、微かに少女の明るい声が聞こえる)


 (風鈴に視線を向けて)

「うん、ありがと。“れいちゃん”」


「今回も見守っててね? あと、また変なコト言ってたら叱って?」


 SE:風鈴の音(同時に「了解っす!」と、微かに少女の声が聞こえる)


 (風鈴から手を離し、浮かんでいるそれに向かって)

「ふふっ……ありがと。それじゃあ、いってきます」



 ~場面転換~



 深夜二時のネットカフェ。


 SE:キーボードを打つ音やマウスの音

 SE:いろんな動画の冒頭だけがいくつか流れる


 霞化ユウの動画配信を見つける。


 SE:マウスのクリック音


 明かりは蝋燭が四本だけ。薄暗い学校の教室を背景に、霞化ユウが映る。


 SE:オルゴール調の学校のチャイム

 SE:落ち着いたBGM(薄っすらと流れている)


「こんばんは~。“霞化ユウの丑三つ教室”へようこそ〜」


 SE:風鈴の音(同時に「ようこそっす!」と、微かに少女の声が聞こえる)


「あ、誰か見てくれてる。もしかして、初見さんかな? はじめまして~。ご視聴ありがと~」


 SE:タイピング音


「ふふっ……コメントもありがと。騎士の“騎”に、木の実の“実”で、“”さんでいいのかな?」


 SE:タイピング音


「ふふっ……合っててよかった。ねぇ、さんがイヤじゃなかったら、って呼んでもいいかな?」


 SE:タイピング音


「ホントにいいの? やった~。ありがと、。よければ、ゆっくりしていってね?」


 SE:風鈴の音(同時に「ごゆっくり~」と、微かに少女の声が聞こえる)



【END】

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霞化ユウの丑三つ教室へようこそ 双瀬桔梗 @hutasekikyo_mozikaki

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