第19話 お尻コンフィデンシャル

     お尻コンフィデンシャル


 ボクは保健室で、お尻を丸だしにしていた。

 そんな、ちょっとした変態プレイをしているのには、理由もある。

 ボクは少し前から、お尻におできができていた。かなり大きくなり、すわるのもしんどくなってきたころ、体育をしているとき、盛大な尻もちをつく。

 そこでおできが破れ、中から膿がふきだした。激痛により半ば気をうしなったこともあって、保健室にはこびこまれたのである。

「膿を全部だしきって、楽になったでしょ!」

 そういって、中年の女性はボクの無事な方のお尻を軽くぽんと叩いて、保健室をでていく。

 この人は、惣子先生の母親にして、恩納学園の校長、教頭であり、保健医も兼ねている。普段は校長室にいて、授業のサポートをすることもあるけれど、滅多にボクらと関わらない。

 何をしているか分からないけれど、偉い人であって、ボクらがビッグマザーと呼ぶ人だ。物部 白先生――。

 ボクのお尻に薬を塗って、大きな絆創膏をはってくれた。膿がでて、濡れてしまったパンツを換えることも提案されたけれど、パンツはしばらくお尻から下げ、乾かすことにした。

 ちょっと何かがふれるだけで、傷口が敏感にひびくのだ。しばらくパンツも穿けないので、ちょうどよい……と、そのときまでは思っていた。


「大丈夫か~?」

 向日葵たちがお見舞い……ではなく、面白がってやってきた。そこでお尻をだしてうつ伏せになるボクをみつけ、みんなはもう笑いを堪えるしかない。

 恥ずかしくて隠したいけれど、今は何かが大きな絆創膏にふれても痛い。それに、下手に仰向けになると、ボクの大事な箇所があやういことになる。

「かわいいお尻だねぇ♥」

 みんな、ボクのお尻を撫でまわしていく。こそばゆくて、もぞもぞ動くのが、逆に面白いようだ。

 そのとき「見えない……」とポロニアがつぶやく。それは多分、みんながボクのお尻に群がるあまり、小さな彼女ではみんなの背中で見えない……という意味だったはずだけれど、何を思ったのか? 向日葵がポロニアを抱えて、ボクの背中にすわらせてしまった。

 ポロニアはボクの足の方をむいてすわり、お尻を眼下に直視する。

「おぉ……」

 ポロニアのつぶやきって一体……? だけど、それでボクの動きが制約されたことは間違いない。しかもそれでお尻が触り易くなったことで、味をしめた向日葵が「行け」と、津紅実と菫に指示をだす。

 津紅実は、ポロニアと背中合わせになるように、ボクの胸辺りにすわったけれど、そうすると菫のすわる場所がなくなった。

 すると菫は、姉からの指示だけに何とかして達成しようと思ったらしく、ボクの首から後頭部にかけて、またがってきたのだ。


 ボクが仰向けだったら、大惨事……というか、ボクの顔と、菫の大事な部分がドッキングしているところだった。

 でも、そこが後ろからだって、首の細いところにまたがったら、菫の大事な部分との密着度が高まることとなるのは、必然だった。

 そう、ボクは頸椎の辺りに、まるで菫のそこの形がしっかりと分かるぐらいに密着したそれを感じ、反応せざるを得なくなっていた。

 恐らく、菫もボクの頸椎がでっぱり、彼女のそこを優しく刺激するので、もぞもぞと動いてしまう。それがさらに、ボクとの密着度を高める結果となって……。

 ボクは菫にのられたために頭を上げることもできず、顔が隠れてラッキー……ではあるけれど、何をされそうになっているのか? まったく周りの様子がわからなくなった。

「どうせなら、このままパンツも下げちゃおうぜ」

 向日葵がとんでもないことをいいだした。どうせお尻をだしているのだから、そのまま全部をさらけださせよう、というのだ。

 恐らく向日葵を信奉するマロンも、それに同調するだろう。むしろ積極的に、ボクのパンツに手をかけているかもしれない。

「やめなよ……」

 神乙女の声がする。

「そうだよ。それじゃあ、痴漢だよ」

 メイプルの声もした。どうやら常識人である二人が、諫める立場にまわってくれたようだ。

 でも、二人の発言力は弱く、悪ノリをはじめた向日葵を食い止められるとは、とても思えない。


 今、パンツを下げられたら、菫のそれを首の後ろに感じ、反応しているボクのそれが、丸見えになってしまう。それだけはどうしても開始しないと……。でも、身動きはとれない。

 そのとき「お兄ぃのお尻は、私が守るッ!」と、ボクの足に飛び乗ってきたのは奎だった。

 奎の発言は、みんなも聞く耳をもつ。それは昴の妹、というばかりでなくその性格も似ていて、本人は「似ている」というと嫌がるけれど、まるで昴の言葉のように聞こえるからだ。

 しかも、奎がそこに居座ったことで、パンツをずり下ろすこともできなくなり、暴挙は止まった。

 ただ、ボクの暴挙の方はまだまだ収まるはずもなく、早く菫たちがボクの上からどいてくれないと、濡れたパンツがさらにしっとりしそうだ。体育終わりでみんな来ているため、みんなもしっとりしている感じがする。ボクはまだまだ顔を上げることもできそうになかった。




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ハーレム・パンツ! 巨豆腐心 @kyodoufsin

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