100人中99人が理解できるヤンデレ
ばち公
100人中99人が理解できるヤンデレ
「頼む、行かないでくれ!」
今さらそんなこと言っても遅いわ。
私達、もう終わったの。
「俺はこんなにもお前のことを愛しているんだ! 縛り付けておきたいくらい、お前が好きなんだ! なのに、なのにどうして分かってくれない!? ……俺をそんなに苦しめたいのか? 傷つけたいのか?」
そうじゃないわ。
ただ、終わったの。私達。
その時が今、来たってだけ。
「そんなの許さない! なんで俺の言うこときかないんだよ!?」
私があなたの言うことをきいたことなんて、今まであったかしら?
「っ……お、お前が俺のことを、なんとも想ってないのは知ってるさ。俺なんかがお前に好かれるワケがないってのも。でも、俺をこんな風にしたのはお前だろ? お前のせいで、俺はこうなっちまったんだ。責任とれよ、なあ! なあ、おい!! 聞いてんのかよ!?」
喚かないでよ、聞こえてるから。
……なんでも私のせいにしないでよ。あなたが私に依存しているのは、私のせいじゃないわ。
でも、本当に呆れるわ。愛だの恋だの、あなたってホンット口ばっかり。
「な、なんだよいきなり。嘘なんかじゃないさ。俺はずっとお前のことばかり考えて生きてきたんだ! 何度も何度も、お前のことを思い出して、考えて――それだけが生きがいで、幸せで……本当に、本当に久々にお前に会えて、あんなに嬉しかったのに……なのになんだよ、さよならって……。なんなんだよ……」
あなただって、薄々分かってたことでしょう?
なのにそんなにも被害者ぶらないで。
「駄目だ。俺から離れるなんて許さない。ずっと俺の傍にいてくれ。いや、お前はずっと俺の傍にいないといけないんだ! 俺はお前のことをこんなにも想っているんだから。……なのに、なんで分かってくれない? なんでこんな急に……」
はあ。呆れた。
そんなこと言って、いざ私が来たらどう? 私との時間、全然大事にしてくれなかったじゃない。
あんなに大事にするって言ってたくせに……。
「違う、そうじゃない、そんなつもりじゃなかったんだ! お、俺だって大事にするつもりだったさ、最初は! でもしょうがないだろ!? 俺には休息も必要なんだ……そうだ、休みは大事なんだよ、だから」
あなたっていつもそう!
家事だってするって言ってたくせに……いざ私が来たらダラダラ寝てばっか。することもないのにスマホいじって時間潰して、ごろごろ怠けてなんにもならない無駄なことばっかり……。
掃除するって言ってたのは? しないといけないことが溜まってるって言ってたのは? 結局何ができたって言うの!?
「そ、それは……その……」
……。
まあいいわ。答えなんて要らない。
私とあなたの関係は、今日でおしまいなんだから。
「そ、そんなっ……! お、俺にはお前が必要なんだ! お前がいない世界なんて耐えられない!! あ、明日から俺はどうしたらいいんだよ!? お前がいないなんて考えられない。想像しただけで死ぬほど辛い……俺が死んでもいいって言うのか!?」
大丈夫。
また、いつかきっと、会えるから。
「いつかっていつだよ!? 明日か? 明後日か!? 違うだろ! お前はっ――お前は!! お前はいつもそうだ!! 希望を持たせて、俺をもてあそんで、俺から逃げていく!」
……。
「くそっ、嫌だ、嫌だ!! 俺がこんなに苦しんでいるのに、どうして傍にいてくれないんだ! どうして、どうして!! ……どうせお前も俺のことを見捨てるんだ! きっとそうだ!! 他の奴らと一緒だ、俺の苦しみも悲しみも分かっちゃくれないんだ!! こんなにも、こんなにもお前のことを愛しているのに! お前を、お前だけを俺はっ!」
悲しまないで。
絶対に、またいつか、会えるから。
「いやだ……嫌だ、嫌だー!!! 行かないでくれっ……」
さよなら。
「行かないでくれ、連休ーーー!!!!」
100人中99人が理解できるヤンデレ ばち公 @bachiko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます