第4話
暗闇の中を歩いていると、急にふっと力が抜ける。僕は体の力が抜けていくのと同時に瞼を閉じた。
眩しい。少ししてからそう感じた。重い瞼をゆっくりと開いていく。
「そうか、お前またテスト学年1位かー!ぐあああ!勝てねぇよ!!」
懐かしい光景だ。これは中学3年生の頃の思い出。無理無理、と言ってボールで壁に向かってパスをしているのは僕の友人である、
「いや、柚也もそこまで変わらないだろう。」
僕が話した。夢を見ている僕は第三者目線から思い出を見ることができる。なので、昔の僕の中に僕が入ることはない。
「はいはい、嫌味ですかー。3位と1位じゃ全然違いますよ。」
パスを止めて、僕の方へボールを投げてくる。
「…そうは言っても総合で20点差だ。そこまで引きずらなくて良いだろ。」
ボールを受け取って2人でパスをし始める。
「はいはい、そうですね。ったく、これじゃあ俺ばっかり対抗心燃やしてるみたいで嫌だな…まあ、いいか。」
柚也は、中学生の頃は相棒と呼ばれるようなずっとそばに居てくれる友人だった。バレーボールでもそうだった。同じクラブチーム、県選抜。僕はスパイカーと呼ばれる、攻撃をすることが役割のポジションで、柚也はセッターと呼ばれる、スパイカーにトスを上げて攻撃をさせる役割のポジションだった。僕達はとても相性が良くて、有名なコンビだったと思う。
「なあ、怜ちゃんはどこ行く?」
高校をどこに決めたか柚也が僕に問う。
「うーん、まだはっきりとは決まってないんだよ…ただ、
「まぁじでぇ?!勉強も部活もやばいとこじゃん。そこ行きたいの??」
柚也はボールをキャッチしてパスを止める。
「あぁ、文武両道は僕の基本だから。」
「へぇー、俺は頭がそこまでだからな…
うーん、と柚也は背伸びをする。
「まあ、まだ夏だしさ、気にしないでいこうぜ!!」
「柚也から話し始めたんだろ。」
「はっ!!そうだった!!!」
頭を軽くパシッと僕が叩くと、柚也はあでっと言った。
「怜ちゃん酷いいいい!!!」
「分かったから。整列の準備するよ。あと2分で練習開始だから。」
流すなー!と柚也が怒っているのを無視して僕はボールを片付けた。
懐かしい。
僕と私は2人で1人 すうら @suuradesu4649
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