合言葉は「516A39」
もやしのひげ根
A
——また、この季節がやって来た。私にとって一年の中でも特別な日。
小さな駅から伸びる道を歩いていくと、左手には暗い木々が立ち並び、右手にはピンク色の蓮の花が
良かった、今年はちゃんと見れた。蓮の花は朝にしか咲かず、しかも四日ほどで花びらを落としてしまう儚い花。とても綺麗で私は好きなのだが、去年、一昨年とタイミングが悪くて見られなかったのだ。
そんな蓮たちに見守られながら歩いていくと、一軒の家にたどり着いた。いかにも古民家といった感じの家で、ところどころに這っているツタは年々増えている。
家主とあいさつを交わしてから階段を上って目的の部屋をノックする。
「ごーいちろくえー」
「......えーさんじゅうきゅう」
合言葉を返すとようやく扉が開いて部屋の主が顔を見せた。
「いらっしゃい」
「ねぇ、もうこのやりとりやめない?」
「なんで?いいじゃん。
「はぁ。一年に一度しか会わないのに葵は変わらないね」
「にしし。変わらないよ。今日という日を忘れないためにもね」
「じゃ、行こうよ。私たちの親友のお墓参り」
私たちの始まりとなった彼の元へ——
合言葉は「516A39」 もやしのひげ根 @j407m13
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