怪談師 まちょの話
こんばんはー。
怪談師をしております、まちょといいます。
まだ駆け出しなので、ヘマをするかもしれませんが、温かく応援していただければと思います。
よろしくお願いします!
では早速お話を。
私ね、実は学生でして。
二足のわらじと言えばカッコいいですが、単位が足らないなんてならないようにへいこら言いながら頑張ってるんですよ。
といってもやっぱり息抜きは大事だと思いません?
先日の休みに実家に帰ったときに、面白いところはないものかって地元の友人に聞いたんですよ。
そしたらね、〇〇公園の池はどうだって言うんです。
〇〇公園って言うのは、車で15分ぐらいで着くデカ目の公園で、中に池があるんですよ。
その池の真ん中に鳥居がありましてね、亀姫様ってのを祀っているんです。
亀姫ってのは、亀が大好きな姫様でね。
亀たちの憩いの場として日照りが続いていたある日、池を顕現させたって話があるひとなんです。
その池で怪奇現象が起こるとかなんとか。
早速行ってみようとなりまして、友達の父親から車を借りて二人でドライブすることになりました。
いつもクソ親父がー!とか言って、仲が悪い感じの話をするのに、実は照れ隠しかなんかで、なかよしじゃんなんて思いながら、公園を目指しました。
着いた頃には、夜中の12時を回っていました。
真っ暗な中ポツポツとある街灯を頼りに車を停め、懐中電灯を持って早速池に向かいます。
そういえば、怪奇現象って具体的に何なのか聞いてないなと気づき、友達に尋ねました。
曰く、「夜中にチャポンって水の音がして、赤ん坊の泣き声と女のすすり泣く声がする」らしい。
道中そんな話を聞きながら池に到着し、真っ暗な池を二人で眺めます。
特に何も起きず、そんなの嘘っぱちだななんて笑っていたら、急に冷たい風が吹いたんです。
夏で外にいるのに、業務用のクーラーの吹出口から直接風にあたったかのような冷たい風でした。
二人で顔を見合わせた時、「チャポン」と水の音がしました。
水槽を持ち上げて横に揺らしたときにする音みたいでした。
急いで池をみるんですけど、波紋も何も起こっていないんです。
もう一回、「チャポン」って音がしたと思ったら、風に乗ってどこからか赤ん坊の泣き声がするんです。
どこから?ってあたりを見回すんですけど、周りは誰もいない。
キョロキョロとしているうちに声が段々近づいてくるんです。
おぎゃーおぎゃー
近づいてくる音はなんだか下の方からするなと気がついて、足元に持っていたライトを向けるとそこには亀が一匹いました。
亀がいる池何だから、あたりまえだと思ったんですけど、亀が口を開けると「おぎゃー」って赤ちゃんの泣き声がするんですよ。
しかも、その声に釣られたのかどんどん亀が集まってきて、おぎゃーおぎゃーってまるで耳元で鳴いているかのように聞こえて、私たちは全力で駐車場まで戻りました。
額に汗を浮かべながら、息を切らせて車に乗り込み、やばかったな、なんて言いながら、今起きた出来事について話し合いました。
びっくりしたなーなんて言いながら、その日は解散。
その後も特に何もなかったんですけど、一つ気になることがありまして。
あの日、私は赤ちゃんの泣き声を聞いたんですけど、友達は女の人の泣き声を聞いたらしいんですよ。
しかも、亀はいたけど、一匹で動いていなかったって言うんです。
私たちは、あの日何とあったんでしょうか?
「亀姫の住む池」
三題噺「単位」「親父」「額」
怪談Night 短夜 羽入 満月 @saika12
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