怪談芸人 ナッツの話
ようこそ、怪談Nightへ!
只今ご紹介に預かりました、ナッツの山田と申します。
えー、普段はナッツというお笑いコンビを組んでまして、怪談芸人なんてのをやらしてもらってます。
久々ですねー!この舞台!!
前回の怪談ライブに来たよ〜って方、いらっしゃいますよね!
いやぁ、嬉しいですね!
じゃあ今回も怖い話、楽しんでいってくださいね!!
こんな仕事をしてるとね、経験談のお手紙を頂くんですよ。
その中から一つ、お話しようかな。
Сさんって方のお話です。
Cさんは、都内で一人暮らし。普通に会社勤めして特にトラブルもなく生活していた。
でね、ある時マンションの契約更新が来たんですよ。
別に立地が悪い訳ではなかったけど、同じ階に越してきた人がちょっと怖くて、引っ越したいなーって思っていた所だったので、更新せず新しい所に引っ越そうと探し始めた。
偏見は良くないとはいえ、グラサンのガタイのいい人が出入りしてると、女の一人暮らしだと怖く思うじゃないですか。
それを友達の家に泊まりに行ったときに相談したんです。
お菓子を食べながら、仕事がどうとか恋人がほしいとか話してる流れでそういえばって感じで。
そしたらその子が「親戚が引っ越すから一室空くマンション知ってるよ」って言うんです。
これ幸いとその子と内見に行ったんですけど、そのマンション、何か暗いですよ。
外観は綺麗だし、日当たりが悪いわけじゃない。
立地も良いし、何もかも理想的なのになんか暗い。
友達も同じように思っていたのか、結構気温の高い日だったのに、薄ら寒く感じると言っていた。
不動産屋さんは、特に何も感じないみたいで、?みたいな顔をしていた。
でも良い所だし、どうしようかって悩みながらクローゼットを開けたり、ベランダに繋がる窓を開けたりしているときに友達が悲鳴を上げたんです。
どうした!なに?って不動産屋と二人で友達のところに駆けつけると、彼女はバスルームの扉の前で腰を抜かして、あっあって言いながら扉を指さしてる。
指の指す方をみても扉があるだけ。
特に何があるわけではない。
でも、なんだか気持ち悪い。
扉を開けたくない。
そんなことを思っているのに、不動産屋は何も感じないのかバスルームの扉を無造作に開けた。
ひっと友達は悲鳴を上げってたし、Cさんも息を呑んだ。
扉の向こうには何もなかった。
でも、何もないのも気持ち悪くて、挨拶もそこそこにそのマンションを後にした。
近くの喫茶店に入って、友達に何見たの?って聞いたら、扉の向こうに子どもが立ってたって言うんです。
幼稚園児ぐらいの身長で宇宙船みたいな形の帽子、通園帽っていうの?黄色い帽子を被った子どもが立ってた。
で、私が扉の前に立ってるのに気がつくと、キャキャキャって笑った。
その時はまだそれほど怖くなかったのと、幽霊なんて見たことないから反応できなかったんだけど、その後急にキャハハっキャハッキャーーみたいな子供特有の笑い声って言うのか奇声を大声で上げたのを見て、悲鳴を上げたの。
そう説明してくれた。
子どもが何だったのか、なぜその部屋にいたのかはわからないけど、とにかくその部屋を借りることはせず、Cさんは別のマンションを借りることにした。
後日、友達が親戚の人にその話をしたら、たしかに内見に行ったマンションは合ってるけど、部屋が違ったらしい。
あれは何だったんですかね?
「マンションの幼稚園児」
三題噺「帽子」「菓子」「偏見」
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