第7話 ギルドで!?
俺とイリアちゃんがギルドに入ると周囲からザワザワという声が、それも次第に大きくなっていき、けれども最終的には受付嬢のアーミアちゃんの大声が全てを凌駕して辺りに響き渡る。
「カブさん!? ご、ご無事だったんですねっ!! えっ、イリアさんとご一緒に居るという事は、イリアさん、ゴブリンキングを討伐されたのですか!? えーっ!! 三級のイリアさんは実は既に二級の実力を持っておられたのですねっ!! これはこのギルド始まって以来の快挙ですよ!! わずか2年で二級に上がる可能性が出てきたのですからっ!!!」
アーミアちゃんの大声により、俺が無事だというよりもイリアちゃんのゴブリンキング討伐の事が他の探索者たちの関心を大きくひいたようだ。
目立ちたくない俺はその事にちょっとホッとした。しかし、敵は俺の直ぐ側に居た!?
「ちょっと待って下さい、アーミアさん。ギルドとしては今回の件をどうおさめるつもりかしら?」
「えっ!? ええ、今回はカブさんもご無事だった事ですし、疾風怒濤の面々には口頭注意という事で……」
「生ぬるいですわっ!! カブ先輩は私が間に合わなければ死んでいたのですよっ!! それを口頭注意ですってっ!! そんなギルドには私は所属出来ませんわ!」
そこに探索者ギルドの
「何だ、何だ、騒がしいと思ったらイリアか…… いったいどうしたって言うんだ?」
「あら? ギルドを取り仕切る長でありながら事態を把握されてないなんて、ガッカリですわ。私、この街を出て別の街に拠点を持ちましょうかしら?」
「おいおい、穏やかじゃねぇな。期待の新人のお前さんが居なくなるのは痛手なんでな。出来れば分かるように事情を教えてくれ。おっと、アーミアを攻めるなよ。俺が昨日の時点で今日の午後6時までは報告も連絡も無しにしてくれと言ってたんでな。何しろこの年寄に
ギルド長であるオメンカイザーさんの言葉にイリアちゃんはため息を吐きながらも静かに話し始めた。
「ハァ〜、そういう事情ならば仕方ありませんわね。どうせ、そのパーティーって1級のあの方たちでしょ? ならばギルド長が二回徹夜をしたのも分かりますわ。事情を説明致しますわ。この度、カブ先輩と同じ年の方が組んでいるパーティー、疾風怒濤の面々がカブ先輩を荷物持ちけん、カブ先輩のレベル上げの為にと偽ってダンジョンへと行き、五階層に置き去りにするという事件がありましたの。たまたま、置き去りにされたカブ先輩を私が見つけて何とかゴブリンキングを倒せましたから2人とも無事に戻れましたけど、もしも私がゴブリンキングに負けてしまっていたならば、私は苗床として捉えられ、カブ先輩はグチョグチョのスプラッター死体と化していた筈ですわ…… で、アーミアさんに疾風怒濤の面々への処罰をお聞きしたら、口頭注意だと仰るので、そんな生ぬるい処罰なのかと抗議していた所でしたの」
イリアちゃんの理路整然とした言葉にオメンカイザーさんは暫し考えた後に、
「アーミア、受付は暫くローリーと代われ。お前は疾風怒濤の面々を俺が呼んでいるといって連れてきてくれ。イリア、お前だけの言葉を信用する訳にはいかない。一応だがあいつ等の言い分も聞いてみないことには公正な判断は出来ないからな」
「よろしいですわ。では、私とカブ先輩は私の家で待機しておきますわ。彼らの言い分をお聞きになられたらお呼び下さい」
「分かった、そうしよう」
当事者である俺は
で、そのままイリアちゃんの家に向かったのだが……
「イ、イリアちゃん…… ここが家?」
「はい、そうですわカブ先輩」
俺の想像していた家とはまるで違い、先ず門があり、そこから20メートルほど離れた場所に二階建ての屋敷が建っている。
更に、その屋敷から10メートルほど離れた場所にようやく俺でも見慣れている家らしい家が5軒ほど並んで建っていた。
うん、多分だが屋敷の方じゃなくてあの家のどれか1軒に住んでも良いんだろうな。とこの時の俺はそう思っていたんだ。
「とりあえず、ギルド長からの連絡を待ちましょう、カブ先輩。先ずはお手伝いさんに紹介しますわ、こちらに着いてきてくださいね」
そう言われたので俺は門から敷地内に入り、イリアちゃんに着いていった。
これだけの屋敷だからな。そりゃお手伝いさんも必要だろう。
イリアちゃんに着いていき中に入ると、前世でお世話になっていたおば…… お姉さん方が居た!?
えっ、みんなも転生してたんですか!?
変態が逝く! みんなが逃げる! しょうわな人 @Chou03
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。変態が逝く! みんなが逃げる!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます