ASMR #8 放課後、幼馴染(恋人)の取り調べ
前話の「ASMR #7」で、晴れて付き合うことになった二人。
これは、二人はその後どうなったんだ――という、アフターストーリー的なものです
とは言え、あの告白の五日後の話なんですが……
─────取り調べスタート─────
「おかえり。遅かったね」
「まあ、そんなことどうでも良くて、リビング、行こっか」
「部活? 今日は休んだよ」
「理由は後で話すわ。その前に、少し良いかしら。話したいことがあるの」
「ちょっと前から気になってることがあってさ」
「大丈夫。あんたの返答によっては、すぐに終わるから」
「何、嬉しそうにしてるの? これから私のする質問、返答によっては、すぐに終わるからね。私とあんたの関係」
「大丈夫。大丈夫。『返答によっては』って言ってるじゃない。あんたが私を想っていれば、自ずと質問の答えは出てくるわ」
「それと、『関係が終わる』って、恋人から疎遠な幼馴染になるってこと。関係が冷え込んでも、幼馴染ではあり続けるから」
「沈黙は肯定ってことで、質問1、貴方は私が好きで告白した。〇か✕か」
「質問2、貴方は今も私のことが好き」
(良かったぁ……じゃない! 口先だけなら、いくらでも言える)
「質問3、これは自由論述よ。貴方が学校で私と、頑なに、話さない述べなさい」
「なるほどね。
「確かにそうね。話す時間なんて、実質ほぼない。それは重々承知の上」
「でもさ……でもさ…………じゃあ何で――」
「そうね。落ち着きの欠片もないわね。でも、そりゃそうなるでしょ! あんたが、浮気してるんだから!」
「今、聞いてるのは私よ! それに、私はあんた以外の男と親しげに喋ったことなんてない。違うクラスとなれば尚更……。勘違いよ」
「いいや、勘違いじゃないわ。私なんて放っておいて『可愛い子』と一緒にいるんでしょ! 浮気よ浮気!」
「本当に、違う……? じゃあ、教えてよ……。毎日、昼休み、どこ行ってるの?」
「私が話しかけようとしても、毎回毎回、外に行っちゃうじゃない! 一回だけじゃない。毎回毎回それが続いたら気になっちゃうじゃない」
「それに、放課後も『その子』と一緒にいるって、あんたのクラスメイトが証言してくれたわ」
「言い逃れなんてできないわ。答えてよ……」
「子猫? お世話……?
「じゃあ何で? 何でなの? 私も呼んでくれればよかったのに……」
「私、猫好きなの知ってるでしょ?」
「嫌い……? いつ、そんなこと言ったかしら?」
「幼い時に襲われた? それ、犬!」
昔、犬に襲われたことがあった。
正確には、全身をペロペロされた。
くすぐったすぎた。トラウマだ。
その時、犬を引き剥がしてくれたのが…………
「(幼馴染だからこその齟齬……)」
昔を思い出して、しみじみと思う。
「ってことは、あんたは子猫ちゃんと戯れてただけ……」
「勘違いしてごめんなさい!」
土下座する勢いで謝った。
一人で勘違いして、決めつけて、問い詰めて。
本当に悪いことをしてしまった。
そして何より、彼氏を信じることができなかった。
「一緒に寝る? たった、それだけで許してくれるの……?」
「じゃあ、喜んで」
「隣、空いてるよ〜」
「じゃあ、おやすみ!」
目を閉じるが、眠れない。
数分経っても、ドキドキしっぱなしだ。
隣からは寝息が聞こえてくる。
「(お世話で疲れちゃたのかな?)」
鈍感だけど、気遣いの出来る彼氏をもって良かったと、つくづく思うのだった。
【完結】放課後、幼馴染と二人っきり。 あるふぁ @Alpha3_5_7
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます