ダウナーな日
いつもの時間に目が覚めいつもの時間に出社し、いつもの時間に業務を終わらせ、いつもより少し遅くに帰宅した。
こう考えると俺って優秀だなと思ってきてしまう。いつも時間通りに行動できている。さらっと流してるけどけっこうすごくない。これ。
そんなことを思いながら決して広くはない部屋の中を進む。
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「こんばんは。お疲れ様です」
「お疲れ」
そういった挨拶の間に煙草に火をつける。まだ3回目だけど、なんとなく慣れてきて、スムーズになってきた。
今日は金曜日で、明日は休みだ。一日中ゆっくり過ごすつもりだから、多少は夜更かししていいだろう。とはいっても生活リズムはそこまで変化しない。決まった時間に行動するのは社会人の基本。
「今日は、少し遅かったけど、どうしたの?」
「新横浜で少し買い物を」
「へぇ~、なにかったの?」
「これです。『す〇れ』のラーメンです。どうですか一緒に」
「いいの!?私もお腹すいてたんだよね。それによるに食べるラーメンってそれだけで価値あるしね」
「そうですよね、わかります。じゃあ俺の部屋でどうですか?」
「き、君の部屋!?」
「無理ならこんな感じでベランダで食べますか」
「いや、無理とは言ってない。じゃあこれから行くね」
自分から誘ったけど普通に危ないやつじゃん。これ雅さんにばれたら殺されるな。
「お邪魔しま~す」
「どうぞ、リビングで待っててください。今からやるので。
・・・あ、ベランダ行きます?タバコ吸ってていいですよ」
「いいの?じゃ、お言葉に甘えて失礼します」
八雲さんはすぐにベランダでタバコを吸い始めた。さすがに部屋の中では控えてたけどやっぱり吸いたかったらしい
ラーメンを作り始めてから数分後、部屋中にいい匂いが充満してきた。それを感じ取ってか知らないがいいタイミングで八雲さんがベランダから帰ってきた。
「どうします?ベランダで食べますか?」
「いいね。ベランダで食べようよ」
部屋にあった折りたためる机をベランダに持っていき、椅子をセット。飲み物と主役のラーメン、さらにある意味主役のタバコ。
完全に二人だけの安価なディナー。
「いただきます」
「じゃあ私も、いただきます」
「プシュッ」という音と同時に発せられた開始の合図。吸いかけのタバコを灰皿に放置し勢いよく麵をすする。これが幸せ。大小関係なく幸せは幸せだ。
「それにしても君は、またこんな美少女を連れ込んで。本当に大胆だな」
「"また"って、前回は自分の勘違いじゃないですか」
「うるさいな~」
と、言った少し照れたような月を見上げた横顔にまた見とれてしまった。どこか憂いているようなはかなげな表情に胸がざわつく。
また謎が増えた。なぜそんな顔をするのか?なぜその顔を見て胸がざわつくのか?
それから数分間は会話の一つせず、夜のラーメンと、酒とたばこに酔っていた。
「おいしい」
ぽつりとこぼれたその単語は返答を求めたものではない。ただの感想だ。このまだ少し肌寒い日にベランダで食べたアツアツのラーメンに対しての感想だ。
そしてまた無言の時間が続いた。
あの感想から八雲さんが丁度一本タバコを吸い終えた。かねてから疑問だった八雲さんについての謎を聞いてみた。
「八雲さんって普段何してらっしゃるんですか?」
「普段?うーん、だいたい家でごろごろしてるよ」
「そうなんですね。仕事とかは?」
「まぁ、そこはまだね」
なんとなくはぐらかされてしまった。
ラーメンを食べ始めてから小一時間ほどが経った。明日は休みだから朝から動きたくないという思いもあり、食器だったりの片づけをしようとイスからたった。
「どこ行くの?」
「片づけに行こうかなと思いまして」
「ふーん。別に明日でよくない」
「明日はゆっくりしたいので」
八雲さんは新しい箱を開けて一本抜き取った。
「はい、これ」
「え!?」
「今日は疲れてるでしょ。ゆっくり休もうよ」
そういわれると動く気力がなくなってきてしまった。仕方なく差し出された煙草を口に含み火をつけた。
「じゃあもう一回。かんぱ~い!」
「乾杯。」
ちょっと酔ってきて、いつもよりテンションが高めな八雲さん。さっきとは違う意味で少し火照ったように赤くなっている。
時刻はまだ10時少し前。酒とたばこと八雲さん。
今日くらいは夜更かししてもいいだろうか。
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どうも「ガウテン」です。
八雲さんとは何もありませんでした。←これガチ。
続きは気が向いたら書きます。
では、また。
年上ヤニカス彼女とダウナーな日常 ガウテン @takay4ki
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