第8話 飴色の後悔


数限りない後悔がある

あめ色をまといながら

追いかけて来る

逃げ場はないよ


風はさらさら避けてゆく


いちばん最初に感じたことが

正しかったかもしれないのに


ひじの内側の白さのように

ただ一点を信じていた


もしあなたがさみしいとしたら

それはあなたが答えを知っていたから

未来はいつもきざしなく見えていた


いつでも

わたしを

ここに置いてゆく

勇気はあるんだよ


でも体の中でうごめくものが

憎しみなのかくやしさなのか

分からないままだから


大切にしたいものが

自分なのか愛なのか

答えを選びたくはない


深い痛みだけが

強く

いとしい


そこにいられたことは

後悔したくない


わたしは逃げ出す子猫か

爪痕つめあとは自分の胸に残った

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 風になれないウタ ふみその礼 @kazefuki7ketu

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