第7話 うごかない影


見ている空と 見えない空が

こんなにも離れていることは

いく人かの人のこころの傷を

実はそっと 

つないでいるかもしれない


人はひとりになるときと

ひとりを やめるときに

てのひらに うそと書く

生きていていちばん

つらいときだね


通りには今も

小猫の思い出がある

わたしというものの属性には

やさしさは ないはずなのに

キズ箱の中には

細い針がいっぱい あって


何年もないよ

こころが色づいていることは

落ちてくる はっぱは はっぱたちは

わたしを見下ろす目を もう

失ってしまったから 今さら

そこから 何が見えるの


わたしが いちばん

残る影として 見えているのは

わたし自身だ


ただ 動けない 影

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